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Z世代・α世代の価値観変容、早稲田大学と未来政経研究所・リザプロが分析レポートを公開

教育メディア未来図が、早稲田大学デモクラシー創造研究所と一般社団法人未来政経研究所と共同で実施した「若者の価値観変容に関する調査」の分析レポートを公開(出典:リザプロ株式会社、以下同じく)

リザプロ株式会社は、早稲田大学デモクラシー創造研究所および一般社団法人未来政経研究所と共同で実施した「若者の価値観変容に関する調査」の分析レポートを2026年2月25日に公開した。

同調査は2025年10月から12月に実施し、高校生(15歳~19歳)894名を対象としたアンケート調査(定量調査)と、19歳から24歳の若者9名へのインタビュー調査(定性調査)を組み合わせた混合研究法で実施。Z世代やα世代の価値観の変化を両面から検証している。

調査では、以下のリサーチクエスチョンを設定した。

  • RQ1:外発的価値観(安定・出世・物質的豊かさ)と内発的価値観(自己成長・内面的充足)のどちらを重視しているか
  • RQ2:生理的欲求・社会的欲求より、承認欲求や自己実現欲求を重視しているか
  • RQ3:自己超越(利他的動機×内発的動機)の欲求を持っているか
リサーチクエスチョン(RQ)を設定し、定性・定量の両面から検証を実施

■RQ1に対する調査結果
定量調査では、生活のための「所得」や「雇用の安定」など外発的な価値観が最重要視されており、それらを前提として「自己成長」や「ビジョンや夢の実現」が重視される傾向が見られた。定性調査では、9人中6人が入学難易度(偏差値)や就職の強さといった「外発的動機」ではなく、新たな出会いや可能性といった「内発的動機」で大学進学を決めている。

■RQ2に対する調査結果
アンケート調査の結果、「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」はすでに満たされている一方、「承認欲求」「自己実現欲求」「自己超越欲求」を今後満たしたいと考えていることが判明している。約30%の高校生は「自己実現欲求」を今後最も満たしたいと回答し、約20%が「自己超越欲求」を選択した。

■RQ3に対する調査結果
インタビュー調査では、将来のキャリアにおいて社会課題の解決や世の中を変えたいといった「利他的動機」ではなく、個人が「楽しい」と感じられるか、ワークライフバランスなどの「利己的動機」が重視される結果となった。アンケート調査でも、「所得」や「雇用の安定」といった利己的×外発的動機と、「成長」「ビジョンや夢の実現」といった利己的×内発的動機が重視されており、自己超越欲求を持っているとは言いがたい結果となっている。

男女差に関する知見

男女差では、女性の方が自己実現欲求や自己超越欲求をより優先的に満たしたいと考える傾向がある。また、将来のキャリアにおいて、女性の方が「ビジョンや夢を実現する」「人や社会の役に立つ、感謝される」といった自己実現・自己超越を重視する傾向が見られた。

生理的欲求から自己超越欲求のすべての欲求階層において、女性の方が「どちらかと言えば満たされている」「とても満たされている」と回答
女性の方が自己実現欲求や自己超越欲求をより優先的に満たしたいと考える傾向がある
男性は女性よりも「就職の強さ」を重視し、女性は「大学の雰囲気やカラー」を「就職の強さ」と同程度重視
女性の方が自己実現・自己超越を重視する傾向が見られる

年齢に関する知見

15〜18歳でキャリア観の基本構造は大きく変わらず、年齢に関係なく「お金」や「安定」を前提としつつ「成長」や「夢・ビジョンの実現」を重視する傾向が高い。年齢が上がるにつれて「入学難易度」や「ネームバリュー」といった外発的な動機を重視する割合が増え、逆に「大学の雰囲気・カラー」や「学びの内容」などの内発的な動機が重視されなくなっている。

「外発的×利己的」要素が前提となりつつも「内発的×利己的動機」も同程度に重視
年齢が上がるにつれて「入学難易度」や「ネームバリュー」といった外発的な動機を重視
各年齢で「自己実現欲求」「自己超越欲求」「承認欲求」が一貫して高い

親の学歴に関する知見

親の学歴との関連では、親の学歴が高いほど子供が内発的動機を重視する傾向が見られるが、「お金」「安定」「自己成長」といった利己的動機は学歴に関係なく重視されていることがわかった。さらに、親の学歴が高いほど、子供が大学進学の際に「学びの内容」を重視し、親の学歴が低いほど「学費・奨学金」「アクセス」「入試制度」などの制度的条件が重視される傾向が高い。

「お金」「安定」「自己成長」といった利己的動機を重視
親の学歴が高いほど、子供が大学進学の際に「学びの内容」を重視
母親の学歴が高いほど、生理的欲求と安全の欲求が満たされている傾向

インタビュー調査では、将来のキャリアにおいて「楽しく働けること」「選択肢がある状態でいること」「ライフワークバランスが取れていること」など、利己的ではあるが内発的な動機が一貫して重視されている。

考察では、若者に自己超越欲求が「ない」のではなく、自己実現欲求と自己超越欲求が接合されていない可能性が指摘された。特に、自己超越は欲求として自然に生じるものではなく、行為と意味付けの往復によって自覚されるものであることが示唆されているという。

若者が自己超越を自覚するために必要なアプローチとしては、自己実現と社会的意義が両立する行為を経験させることや、自分がやっていることの社会的意味を振り返って言語化する機会を持つこと、意味付けを翻訳してくれる他者との関係を持つことが挙げられた。

調査に関する考察

早稲田大学デモクラシー創造研究所 招聘研究員の島田光喜氏は、「若者が変わったのではなく、社会が変わる中で合理的に適応している」と述べている。

調査概要

項目概要
調査目的若者(2010年代前半生まれ)を対象に、近年顕在化している価値観の変容を実証的に明らかにすること。教育における探究学習の意義の実証、大学進学支援の新たな評価軸の提示、若年層の市民参加・民主的関与の可能性を探ること
調査機関早稲田大学デモクラシー創造研究所、一般社団法人未来政経研究所、リザプロ株式会社
調査責任者島田光喜(早稲田大学デモクラシー創造研究所 招聘研究員)
定性調査19歳〜24歳の若者9名へのインタビュー(偏差値ではなく、志望とのマッチ度合で大学進学を決定した若者を対象)
定量調査高校生(15歳〜19歳)894名へのオリジナル設計によるアンケート調査(2025年10月30日〜12月7日に、有志の協力高校8校で実施)