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中高生向け探究コンテスト「自由すぎる研究 EXPO2025」の受賞作品が決定、公式サイトで公開
「イカでイカを釣る」研究が6冠を受賞、75作品が金賞
2025年8月20日 14:00
全国の中高生向け探究コンテスト「自由すぎる研究EXPO2025」は、最終審査結果を発表した。公式サイトでは、受賞作品の詳細やPR動画を公開している。
「自由すぎる研究EXPO」は、全国の中高生から自由研究(探究の成果物)を募集し、さまざまな業種の企業・大学・自治体などで構成される「称賛団体」が生徒の日ごろの探究活動を称賛する探究コンテストだ。主催は株式会社トモノカイ。今年は4年目の開催で、文部科学省の後援を受けた。
今年の応募数は8,352件に上り、グループでの応募者を含めた参加者総数は12,513名と、過去最大規模となった。企業や大学、自治体などの35団体で構成される「称賛団体」が選出した金賞は計75作品(100賞)が受賞した。
1次審査では、日ごろ探究メンターとして高校生向けに探究の学習サポートを行う大学生による審査を実施。最終審査では、さまざまな業種の企業・大学・自治体など35団体で構成される称賛団体(審査団体)が、それぞれの観点で作品審査を行っている。
受賞作の中でも金賞(称賛団体賞)6冠を獲得したのが「イカでイカを釣る ~廃棄物(イカの甲)を用いた生分解性プラスチックの開発~」(山口県立徳山高等学校 3年 松永七海さん)だ。
この研究は、本来廃棄されるイカの甲を活用し、生分解性疑似餌を開発するというもの。審査員は「循環型社会の実現や環境負荷低減に大きく貢献している」という点と「『イカでイカを釣る』というユニークな発想」に着目。「従来の常識にとらわれない発想力と、実用性を両立した点が素晴らしい」と高い評価が寄せられた。
また、「アマモの発芽・育成装置及び方法」(明治大学付属八王子高等学校 1年 嘉手納杏果さん)は、4冠を獲得した。
空気中の二酸化炭素を吸収する植物として期待されているアマモが育ちにくい環境について、アマモの発育・育成装置、冬にしか発芽しないアマモの種を真夏に発芽させる発芽水(発芽促進液)、アマモの発芽・育成方法の3つの発明を集約した研究だ。
審査員からは、「自ら発芽・育成を可能にする技術を探究する姿勢は、環境問題への新たな一歩として非常に意義深い」と評価を受けている。
「段ボールが世界を救う! ソーラーフードドライヤーの開発に関する研究 ~自然乾燥と人工乾燥のハイブリッド装置による食品ロス削減プロジェクト~」(岐阜県立岐阜農林高等学校 3年 長屋旬亮さん、林 理玄さん、深見心結さん、山田美乃さん、山元絵瑚さん)は、3冠を獲得した。
農産物の規格外品などを乾燥させ、二次加工することで食品ロスを削減する目的から、自然乾燥法と人工乾燥法の両者の利点を生かした箱型乾燥装置を開発した研究である。
審査員は「食料問題という大きな問題を自分たちの地域の問題に落とし込み、現地の人にヒアリングを通して、自分たちにできることを探す」「手を動かしモノを作り出す」といった点が素晴らしいと評価した。
「いじめ撲滅と不登校支援に向けて~声をあげた経験者の高校生の挑戦記録~」(S高等学校 3年 悉知 信さん)も3冠を獲得している。
自身のいじめ被害をもとに、学童へのヒアリングや専門家へのインタビュー、市議会への陳情提出、政治家などとの意見交換、「いじめ問題を考える会」の設立、いじめ防止条例のルーブリック評価など、精力的な活動内容を報告。
審査員からは、「同じ境遇の子供たちを支えるために探究を進める姿に勇気付けられた」「継続した支援実施をしている点が素晴らしい」と評価を受けている。