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KDDIとモチベーションワークス、クラウド型校務支援サービスを提供

校務支援「BLEND」とKDDIのセキュリティサービスをセットに

KDDI株式会社とモチベーションワークス株式会社は、教職員の働き方をDXするクラウド型校務支援サービスを提供開始すると発表した。提供料金は月額300円(税別)/生徒で、2022年8月31日から提供開始となる。

提供開始するのは、モチベーションワークスが提供しているフルクラウド統合型校務支援システム「BLEND」と、KDDIが提供している「KDDIビジネスオンラインサポート」「KDDI Business ID」をセットにしたサービス。校務に必要な出欠・成績登録、指導要録の帳票出力などあらゆる機能を備えるほか、複数のID管理や2段階認証が可能なため、場所にかかわらずセキュリティを確保しながら作業できる。

BLENDは、各地域や学校独自の教育方針および評価基準に合わせ、システムのカスタマイズが可能。導入後に専任担当者がチャットツールやオンライン会議ツールなどを通じて伴走する独自のカスタマーサポート体制を構築する。

なお、両社は2022年6月6日に、教職員の働き方改革を目指し、学校のDXに向けた業務提携を締結している。

発表に合わせてオンラインで開かれた記者会見では、KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 事業企画部 企画2G グループリーダー 吉川元規氏と、モチベーションワークス株式会社 執行役員 副社長 野本竜哉氏が、それぞれの背景を説明した。

モチベーションワークス株式会社 執行役員 副社長 野本竜哉氏(左)と、KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 事業企画部 企画2G グループリーダー 吉川元規氏(右)

生徒のICT化に加え、先生の業務改革にも取り組む

KDDIの吉川氏は、背景として、同社が教育領域に取り組む中で見えた学校現場の課題を挙げた。まず、OECD加盟国の中でも日本の教職員の労働時間は最も長く、これは膨大な校務が紙か旧型システムに依存していることによるという。また、GIGAスクール構想により1人1台学習者用端末が普及したものの、低利用頻度や、使い方、故障時の対応なども課題となっている。さらに、プログラミングなどの次世代教育に対する教員の経験や学びの機会が不足していることも対応が求められている。

こうした背景から、「いままで学校現場では、主に生徒のICT化の支援をしてきたが、それだけではなく、先生方の業務負荷を軽減していく活動にも取り組んでいきたい」考えにより、今回発表したサービスの提供につながったと吉川氏は説明した。

校務クラウド化の最後のピースとしてKDDIと提携

モチベーションワークスの野本氏は、学校の先生の悩みとして、「先生たちは、もっと子供たちと寄り添い1人1人の“声”に応えたいと思っている。でも、そのための“余白”が足りない」ことを挙げた。先生は校務に追われて多忙で、変化に対応する時間も持てない。そこで、テクノロジーを活かした先生の働き方改革で「学校の“余白”を取り戻す」ことをメッセージとして掲げた。

その中核となる製品が、クラウド型総合校務支援システムBLENDだ。BLENDは、クラウド型でサーバー設置不要なため、すぐに導入可能でタブレットやPCから利用できるのが特徴だ。初期費用も保守費用もかからない。また、クラウド型のため、常に最新で、日々進化し続ける。

さらに、保護者のスマホにアプリをインストールすることで、出欠席や、検温、アレルギー申告などを保護者が直接データ入力できる。

野本氏は校務効率化事例として、紙とオンプレミスのシステムを使った従来の校務と比較して、出席簿登録にかかっていた時間が80.7%削減され、システム経費が83%削減された例を紹介した。

BLENDを採用した聖徳学園中学・高等学校の情報システム部長 鶴岡裕一郎氏による動画メッセージも上映された。鶴岡氏は、学校の先生は小さな忙しさが積み重なって多忙であることを説明し、それがBLENDによって解消されたと語った。その一例として、欠席連絡を親がBLENDで送れることで、連絡を電話で受けたり紙の出席簿で管理したりしていた負担が軽減したことを挙げた。

BLENDを採用した聖徳学園中学・高等学校の情報システム部長 鶴岡裕一郎氏

野本氏はさらに、クラウド化による進化として、これまで大半のEdTech事業者のサービスは最重要である成績情報へのアクセスが不可能だったことを挙げた。ネットワークが校務系と学習系で分断され、人間がデータを手動で入力する必要があった。

これに対して、BLENDによりすべてのシステムをクラウドに寄せることで、この問題を解決できると野本氏は述べた。

そして、BLENDによるクラウド化の最後のピースとして、インフラとセキュリティを野本氏は挙げ、「そこで、KDDIの提供する、さまざまなセキュリティのサービスと組み合わせることにした」と語った。

今後はゼロトラストアクセスや個別学習最適化も

吉川氏は今後の取り組みについても説明した。

同氏はKDDIやLACのセキュリティ分析技術による「KDDIマネージドセキュリティ」や、場所を問わずに組織のシステムを利用できる「KDDIマネージド・ゼロトラスト」といったサービスを紹介。「これまで企業向けに提供してきたが、これを学校向けにも提供する」と語った。

さらに、モチベーションワークスのBLENDおよび学校DXの知見と、KDDIのセキュリティおよびデータ分析ノウハウにより、個別最適化学習まで向かいたいと吉川氏は語った。