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マイクラで「ご当地キャラ」を創作、NASEF JAPANの教材で全国18カ所マイクラパーティを同時開催
- 提供:
- NASEF JAPAN(国際教育eスポーツ連盟ネットワーク ⽇本本部)
2025年3月25日 06:30
子供たちが夢中になるマインクラフトを使って、全国18カ所で同時に「ご当地キャラ」を制作するという壮大なワークショップ「第3回CATV Online Challenge CUP『日本全国マイクラパーティ!』」が2025年2月22日に開催された。
同イベントでは、高校向けにマインクラフトのPBL教材を無償提供するNASEF JAPAN(ナセフ ジャパン/特定⾮営利活動法⼈国際教育eスポーツ連盟ネットワーク⽇本本部)がこの日のために開発したオリジナル教材を使用。子供たちが遊びながら創造し、地元愛を育んでいく。マインクラフトを通して親子が特別な時間を過ごしたワークショップの様子をレポートする。
■NASEF JAPANがオリジナル教材を提供!子供の創造力と考える力を引き出す
■アイデアを設計図に落とし込むプロセスが大切!
■ういろうや名古屋城、地元愛が込められた作品たち
■作品のこだわりを自分の言葉で発表!
■タツナミシュウイチ先生が18カ所の全作品を講評する展覧会
NASEF JAPANがオリジナル教材を提供!子供の創造力と考える力を引き出す
NASEF JAPANは、eスポーツなどのゲームをツールとしてDX人材・グローバル人材の育成に取り組んでいる教育団体である。教育版マインクラフトによるPBL教材・STREAM教育(※)の教材開発を手掛けており、同団体の加盟校に無償提供している。
※科学(Science)、技術(Technology)、ロボット工学(Robotics)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の6つの領域を指す。
またNASEF JAPANは教材開発・提供に加えて、2024年より小学校高学年から中学3年生を対象としたグループワーク型ワークショップ「NJ craft LAB.(ニジクラ)」を展開。「世界遺産」や「恐竜とその生態」をテーマにグループで調査し、共同建築や発表に取り組むという、マインクラフトを活用した学びの場のプロデュースも手掛けている。
そんなNASEF JAPANは、全国19社のケーブルテレビが連携する地域密着型イベント「第3回CATV Online Challenge CUP『日本全国マイクラパーティ!』」(主催:全国ケーブルテレビ横断eスポーツ大交流会実行委員会)に初参画した。きっかけは、同イベントに携わる株式会社コミュニティネットワークセンターの前田祐作氏がNASEF JAPANのマインクラフト教材に触れたことから。
前田氏は、「今回のイベントは、ゲームを通して子供たちの創造力と自ら考える力を引き出したいと考えた」と話す。そのコンテンツとして、NASEF JAPANが手掛けるマインクラフト教材に注目。NASEF JAPANは企業への教材提供は初めてであったが、今回のイベントのためにオリジナル教材を開発するところから着手し、ワークショップの企画運営やイベントのサポートを行った。
同イベントのために開発したオリジナル教材は「新しいご当地キャラをつくろう」。マインクラフト教育の第一人者であるタツナミシュウイチ先生が監修を担当している。
アイデアを設計図に落とし込むプロセスが大切!
全国18カ所で同時開催された「第3回CATV Online Challenge CUP『日本全国マイクラパーティ!』」は、親子で参加できるワークショップ。北海道から佐賀県まで900組以上の応募が殺到し、当日は抽選で決まった約213組の親子が参加した。訪れた名古屋会場では、計2回のワークショップが実施され20組の親子が参加した。
ワークショップは、「ご当地キャラ」とはどういうものかを理解するところからスタート。子供たちは、愛知県のご当地キャラ「はち丸」が名古屋城の殿様をモチーフにしていることを学び、その後、愛知県の名産品や観光地をヒントに新しいキャラクターを考えた。
子供たちの手元にはアイデアシートが配られており、自分が作りたいご当地キャラのモチーフと設定、設計図を書き込む。なかには「名古屋城」と「ウナギ」など複数のモチーフを組み合わせたご当地キャラを考案する子もいて、発想が面白い。
作業のポイントとなるのは、設計図だ。タツナミ先生も冒頭のビデオメッセージで「素敵な作品を作るためには、設計図を丁寧に書くことが大切」と語っており、アイデアをマインクラフトの世界で実現するためには、完成形のイメージを持つことが重要だと伝えていた。
今回作成するご当地キャラは、タツナミ先生が監修した専用ワールドで制作し、20x20x20の決められた空間におさめることが条件となる。アイデアシートでは、全体イメージを平面で描いた後、前後左右の4方向から見た設計図を方眼紙に落とし込み、平面的なイメージを立体的に組み立てていった。
設計図ができたら、いよいよマインクラフトのワールドで制作に挑戦。子供たちの多くは、普段からNintendo SwitchやiPadでマインクラフトを楽しんでいるようで、PC操作に戸惑いも見られたが、すぐに制作に没頭し始めた。保護者は隣で作業を見守りながら、子供にやさしくアドバイス。作品を俯瞰(ふかん)できるよう視点を切り替えたり、ブロック数を確認したりと親子で協力し合う姿が多く見られた。
ういろうや名古屋城、地元愛が込められた作品たち
子供たちが制作した名古屋の新しいご当地キャラは、どのようなものだろうか。モチーフとしては、「名古屋城」「レゴランド」「ういろう」が人気だったが、興味深いのは同じモチーフを選んでいても、どれも個性的な作品になっていることだ。これはアイデアシートの段階でご当地キャラのイメージや設定をしっかりと考えていたからだろう。
制作途中も「作品を完成させるのが目的ではなく、自分がアイデアシートに書いたことを表現できているかが大事」と繰り返し声がかけられていた。子供たちの創造性を引き出すようワークショップが工夫されているのが伺える。
小学5年生のうなぎチームは、「うなぎ」「海苔」「忍者」をモチーフにお腹に海苔を巻いたうなぎのキャラクター「うな丸丸」を制作。こだわりは、本体の周りに水を流して、うなぎのヌルヌル感を表現したこと。当初、「青色の色付きガラス」にする予定だったが、制作時間を考慮して、水を流す方法に作戦を変更。ワークショップ終了後も、水をブロックでせき止め、周囲に魚を泳がせて世界観を追求し「家でもつくり直してみたい」と意欲を語ってくれた。
ピンクのういろうが好きと話す小学5年生は、人型のご当地キャラ「ウロモン」を制作した。桃色のコンクリートや色付きガラスなどピンク色のブロックを組み合わせて、ういろうの「つるんとした透明感」を表現。顔に対する目の比率に苦労していたが、最終的にはコツをつかんでいた。お腹に「U」のトレードマークを入れて工夫も凝らした。
マインクラフト歴半年の小学2年生は、「自動車」をモチーフに選び、レーシングカーのようなご当地キャラづくりに挑戦。たくさん下書きをして、大人でも難しい車体のデザインを前後左右、きれいに方眼紙上に書き込んだ。ガラスブロックで車の窓を表現し、親子でタイヤの位置を相談しながら制作。タイヤの中心部分には、金ブロックの飾りをあしらい見栄えを追求する姿も見られた。
作品のこだわりを自分の言葉で発表!
アイデアシートの作成からマインクラフトでの制作まで、約60分間という限られた時間の中で、思い思いのご当地キャラを完成させた子供たち。最後は「発表シート」に作品の説明やこだわりポイントを記入して、皆の前で発表を行った。見てもらいたい部分をきちんと言語化することで、発表の際に伝える力を引き出す。
発表では、「パソコンでつくるのが大変だった」「シャチホコの形が難しかった」「左右対称につくるのに苦労した」といった声が飛び出したが、全員共通していたのは、とにかく「楽しかった!」という達成感のある表情だ。「新しいご当地キャラをつくれるか不安だったけれど、つくれてうれしかった」と、自作したキャラクターに愛着を持って発表する姿が多く見られた。
終了後、家族全員で参加していた小学5年生に感想を聞くと「パソコンでつくるのは初めてだったけど、設計図通りにつくることができた。地元の名産品について考えて、ご当地キャラを考えるのが楽しい」とコメント。さらに、自身がつくった「ういろう」のご当地キャラについて、「じつは中に“あん”が詰まっているんです。掘ると壊れちゃうけど」と、見た目ではわからない、細かなこだわりを教えてくれた。いかに創造的に制作していたのかが伝わってくる。
また、保護者は「設計図を書いて制作する構成が良かった。小学2年生の下の子が、アイデアシートをきちんと書けるか心配だったが、しっかり取り組む姿を見て感心した」と語った。設計図については、ほかの保護者からも「大人でも難しいのに、前後左右のイメージを方眼紙に書いているのがすごい」という声が多く挙がっていた。
今回、同イベントに携わった株式会社コミュニティネットワークセンターの前田祐作氏は、ワークショップについて「マインクラフトを通して親子で楽しみながら地域の魅力を再発見し、愛着を育んでいただくことで地域活性化の一助となれば幸いです。子供たちが真剣にマインクラフトで制作する姿を見てもらうことで『ゲームも捨てたものじゃない』と感じてもらえたらうれしい」」と語ってくれた。
タツナミ先生が18カ所の全作品を講評する展覧会
全国18カ所、地域に密着したケーブルテレビの強みを生かして開催された「日本全国マイクラパーティ!」。各地域でワークショップが開催された後は、タツナミ先生が18カ所で発表された全作品を講評する展覧会を実施。その様子が3月19日に特別番組としてYouTubeで配信された。公式サイトでアーカイブ動画が視聴可能となっている。
子供たちがマインクラフトを好きなのは言うまでもないが、普段は遊びの一環としてプレイしており、今回のように「ご当地キャラをつくる」というテーマに沿って制作する機会はめずらしいだろう。こうした課題解決型学習とマインクラフトは非常に親和性が高く、子供たちが創造性を発揮しながら試行錯誤できる点がメリットだといえる。アイデアを具体的に書きこんだり、こだわりを表現したりと、子供たちが主体的に考えて取り組む、その姿にゲームを超えた教育的価値を実感する。