トピック

マイクロソフト、DXハイスクールに「Surface」と教育ソリューションのコラボパッケージを提供

プログラミング・探究学習・理数系個別最適学習の導入を支援

マイクロソフト、DXハイスクール応援コラボパッケージを紹介

 デジタル人材の育成を強化すべく、高等学校1校につき1,000万円を支援する。しかも、対象校は1000校。

 これは、文部科学省が進める「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」と呼ばれる施策だ。すでに2024年4月に1000校の採択校も発表され、各校は現在、DXハイスクールがめざす教育に対してどのようなICT環境整備が必要なのか、検討段階に入っている。

 そうした中、マイクロソフトは高スペック端末Surfaceと情報・探究・理数教育の教育ソリューションや研修/勉強会などをまとめた「DXハイスクール応援コラボパッケージ」の提供を開始した。本稿では、同パッケージを説明したオンラインセミナーの内容を紹介する。

Microsoft Education DX ハイスクール応援 コラボパッケージ 一挙にご紹介! セミナー


学びをリードする各分野のエキスパートとマイクロソフトがコラボ

 DXハイスクールは、大学でデジタル・理数分野へ進む学生の増加をめざして、高校段階からその人材育成を強化する施策である。具体的には、情報や理数教育、またはICTを活用した探究的な学びを強化する高校に対して、必要な環境整備の経費を文部科学省が支援する。その額が1校1,000万円。これからの社会で成長分野の担い手となるデジタル人材の増加をめざす。

 この施策に対して、マイクロソフトは「DXハイスクール応援コラボパッケージ」を用意した。これは、高スペック端末のSurfaceをベースにプログラミング教材(株式会社CA Tech Kids提供)、探究学習(認定特定非営利活動法人カタリバ提供)、理数系教科の個別最適学習(Classi株式会社提供)という3つの教育ソリューションが選べるもので、ハードとソフトの両方をまとめて提供するのが特長だ。

マイクロソフトはハードとソフトの両面からDXハイスクールを推進
日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 GIGA 政策室 室長代理の栗原太郎氏

 日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 GIGA 政策室 室長代理の栗原太郎氏は、同パッケージを企画するにあたり、学校関係者からDXハイスクールの施策について「情報の教科を充実させたい」「探究で利用したい」「遠隔授業で使いたい」など様々な意見を聞いたと話す。

 それを受けて、「マイクロソフトの製品・サービスと他の教育サービスを組み合わせて提供できれば先生方のやりたいことを実現できる」という思いに至り、プログラミングや探究学習、理数系の個別最適学習など、各分野の学びをリードする教育企業やサービスとのコラボパッケージを企画した。

 栗原氏自身が元教員だったこともあり、「ハードだけ、ソフトだけで提供されると教員が扱いづらいことは私自身も経験していました。そのため、ハードとソフトを1つのパッケージにすることで様々な教育活動が実現できるようにしました」と語る。


教育現場の様々なニーズに対応できるSurfaceシリーズ

Microsoft Asia Surfaceビジネス本部 教育市場 GTMマネージャー 岡 涼平氏

 Microsoft Asia Surfaceビジネス本部 教育市場 GTMマネージャーの岡 涼平氏は、「情報教育や探究学習を強化するうえで、端末が生徒の学びたい意欲の足かせにならないよう、最善のデバイスで学んでほしい」と語る。特に、AIへの注目が高まっている今だからこそ、高校にはSurfaceをお勧めしたいと同氏。「Surfaceは、マイクロソフトが開発・提供するAI機能やアプリの使用を前提として設計されており、様々な学習に対応できる」という。

Surfaceの利用でAI活用が身近になる

 Surfaceのおすすめ理由として岡氏は、最新プロセッサー搭載モデルや外部GPU搭載モデルを利用することで、「情報II」や探究学習において生徒がストレスなく学習できることに触れた。また、スタイリッシュなデザインやデジタルペン、タイピングなど細部へのこだわりが生徒の学習意欲の増進につながると語った。

DXハイスクールでSurfaceがオススメな理由

 Surfaceのラインナップとしては、電子黒板や大型掲示装置として遠隔授業にも最適なSurface Hubシリーズをはじめ、ラップトップ/2in1タイプでNPU(AI用プロセッサ)やAIのCopilotキーを搭載したSurface ProやSurface Laptopのほか、外部GPUを搭載してクリエイティブな創作活動に適したSurface Studioシリーズがラインナップされている。いずれも、学校のニーズに合わせて自由に種類や台数の組み合わせが可能だ。

DXハイスクール向けのSurfaceラインナップ

 なかでも、教育現場から引き合いが多いのが、Surface Hubだという。Surface Hubには50インチモデルと85インチモデルがあり、50インチモデルは縦に設置して、人の姿をほぼ原寸大に映し出すことも可能。相手の表情が読み取りやすく、人数が多くてもSurface HubのAIカメラが人物を認識し、拡大やカメラ分割によって参加者の表情を鮮明に映し出すことができる。リアルかつ円滑なコミュニケーションができることから、オンライン授業やオンライン研修会にも最適だ。

Surface Hubの50インチモデルは縦に設置可能

 また、協働学習におけるSurface Studioシリーズの活用例も紹介。同シリーズはデスクトップ型パソコンでありながら、ペンで画面に書き込みをしたり、画面にタッチして操作が可能だ。パソコン本体のほか、ペンやキーボード、マウスもワンセットで用意されており、複数人の生徒たちが大きな画面を見ながら同時に書き込むような新しい協働学習のスタイルにも対応できる。

Surface Studioシリーズは画面をタッチして操作したり、ペンで書き込みができる。画面を傾けて複数人で書き込むことも可能

 岡氏は、Surfaceシリーズは教育現場のニーズに合わせて幅広いラインナップをそろえており、DXハイスクールで求められる多様な学習を実現できるとしている。


CA Tech Kids:情報Ⅰのプログラミング学習と評価、教員研修をセットで

 続いてはSurfaceシリーズにセットとなる教育ソリューションの紹介だ。

株式会社CA Tech Kids 代表取締役社長 上野朝大氏

「プログラミング学習促進プラン」を提案したのは、小学生向けのプログラミング教育事業や教員研修を展開する株式会社CA Tech Kids。代表取締役社長の上野朝大氏が説明した。

 同プランは、学習ツール・評価ツール・教員向け研修/交流会の3つをセットにしたもの。学習ツールは全国3200カ所の民間プログラミング教室で導入実績のある自律型教材「QUREO」で、JavaScriptのテキストプログラミング言語を学ぶことができ、情報Ⅰのプログラミング領域をカバーする。学校向けの提供は今回が初めてとなる。

 QUREOの特徴は、キャラクターと生徒が会話しながら学習を進められること。練習問題の次に復習問題という形で、何度も自分で試すことができ、生徒が自分で課題を進められる自立型の教材である。

情報Ⅰのプログラミング学習ができる自律型教材「QUREO」

 さらに株式会社プログラミング総合研究所が実施している「プロ検(プログラミング能力検定)」を提供する。プロ検は、プログラミングの理解度を分析・評価できる検定試験で、オンラインで受験が可能。今回提供するパッケージにプロ検を組み込むことで、生徒が「QUREO」で学んだ内容を評価できる。検定の合否結果については、詳細な成績表も用意されており、「順次実行」「if文」などプログラミングの概念や知識に基づいて生徒の理解度をチェックし、公平に評価できる。

プロ検の合否結果を示す成績表。プログラミングの学習項目ごとに理解度も把握できる

 また、教員向けの対面/オンライン研修・交流会を2カ月に一度の頻度で開催する。プログラミング教育の実態や生成AIを活用した授業、プロ検の活用方法、Microsoft 365の利活用といった旬のテーマを取り上げ、授業のヒントを提供していく。併せてDXハイスクールに関する事務手続きについても研修で説明するとしている。

教員向け研修・交流会のイメージ


カタリバ:教員の課題も解決できる実践型探究学習

 認定特定非営利活動法人カタリバは、総合的な探究の時間に活用できる「実践型探究学習 マイプロジェクト サポートプラン」を提供する。

 具体的には、探究学習の生徒用教材・教員用研修動画・教員向けコミュニティへの参加がワンセットになっており、さらに教員用指導ガイドブック、先進校の教員と学ぶオンライン勉強会への参加、無料で利用可能な教材とイベント情報の提供もパッケージに含まれるというものだ。

実践型探求学習「マイプロジェクト」生徒・教員サポートパッケージ
認定特定非営利活動法人カタリバ 全国高校生マイプロジェクト全国事務局 横山和毅氏

 同法人の横山和毅氏によれば、カタリバでは2013年より実践型探究学習マイプロジェクトを実施。調べ学習をして終わり、提言をして終わりとなってしまいがちな探究学習において、実践と経験から学べる教材やカリキュラムの開発を手掛けてきた。2023年度は単年度で約10万人の高校生に対して探究学習マイプロジェクトを提供したという。

 今回のDXハイスクール向けには、生徒の探究教材だけでなく教員の悩みも一緒に解決できるパッケージを用意。生徒用教材として、情報収集や課題設定など探究サイクルに沿ったワークシート約40種類が掲載されている「マイプロジェクトサポートBook」を、1校あたり最大700冊まで配布する。また教員用の指導ガイドブックも付属し、探究学習の概要解説やワークシート解説などを掲載。多くの教職員が利用できるように、対象生徒数の10%の冊数を配布するとしている。

総合的な探究の時間で使える生徒用教材と教員用指導ガイドブックを用意

 さらに「教員用研修動画」では、総合的な探究の時間の基礎から応用までを網羅。「基礎編」「生徒伴走のポイント編」「振り返り編」の3本が視聴可能で、校内研修で利用できるワークシートも付属する。もっと学びたいという教員にはオンライン勉強会も用意されている。

探究の時間に関する理解が深まる教員用動画とオンライン勉強会を実施

 ほかにも、全国600校以上が参加する「マイプロジェクトパートナー校」コミュニティへの参加も可能となる。「伴走者サポートサイト2024」の閲覧や既存教材のダウンロード、生徒の発表コンテンツ、オンライン勉強会のアーカイブ動画視聴など、無料でさまざまなコンテンツを活用できる。探究学習においては各学校の取り組み状況がかなり異なっており、差異も生まれ始めていることから、そこを埋めていくような支援を提供していきたいと横山氏は語った。

探究の時間に関する理解が深まる教員用動画とオンライン勉強会を実施


Classi:先生視点と生徒視点で取り組める理数科目の個別最適学習

Classi株式会社 CS部 副部長営業責任者 林田健治氏

 理数系教科を支援するパッケージ「Classi×探究・DX人材育成応援パッケージ」を提供するのはClassi株式会社だ。同社CS部 副部長営業責任者 林田健治氏はパッケージのコンセプトとして、「理系の進路選択ではなく、自身の希望する進路選択を実現できる生徒を増やしすことがねらい」と話している。理数科目への苦手意識から教科を絞り、理系学部への進学をあきらめる生徒が多いため、学習内容の定着を支援することで幅広い進路選択ができることを目指すという。

理系学部や情報系学部への進学率向上を目指す

 Classiの個別最適学習では、ベネッセコーポレーションが提供するテストから算出される学力指標「GTZ(学習到達ゾーン)」を活用し、生徒1人1人の希望進路目標に応じた個別学習を提供する。具体的には、教員が配信する単元テストの結果をAIが分析し、生徒それぞれに個別最適な問題を出題する「課題配信」と、生徒が自分で目標とするGTZを設定して演習問題に取り組む「自主学習」の両輪で個別学習を進められるのがポイントとなる。

 生徒1人1人にAIが伴走することで、習熟度に合わせた出題を効率よく行い、単元ごとの学習内容の定着を図るとともに、生徒が自分で目標を設定できることで到達度や達成感も味わえる。各単元でクリアすべき演習に全問正解すると「トレーニング完了」のスタンプが付き学習意欲が高まるといった仕組みも実装されている。

「先生起点」の個別最適な学び
「生徒主体」の個別最適な学び

 Classiが提供する支援サービスには、「生徒の学びを支える機能」「教員の指導をサポートする機能」「保護者を含めた安全・円滑なコミュニケーションをサポートする機能」がひとつのパッケージとなっている。生徒が学習履歴や活動記録を自主的に入力できるポートフォリオのほか、生徒の日々の様子を確認できる生徒カルテなどの機能も用意されており、生徒1人当たり3,960円(年間)で利用できる。

 さらに、Classiが提供するサービスに加えて、オンラインで探究学習のサポートを行う「トモノカイ」、外部講師をマッチングしてオンライン講座を提供する「複業先生」といった有料のオプションサービスも選択できる。

株式会社トモノカイが提供するオンライン探究学習サポート
株式会社LX Designが提供する外部講師によるオンライン講座サービス

 以上がマイクロソフトが提供する「DXハイスクール応援コラボパッケージ」の内容となる。

 今回のDXハイスクールにおいては、高校のICT環境をアップデートできる最善の機会であり、高スペック端末のSurfaceに加えて、プログラミングや探究学習、理数教育など、教育活動を早急に始められる教育ソリューションや研修/勉強会などをワンパッケージで準備できるのが大きなメリットである。この機会を逃すことなく、詳細については、Surface教育機関専用窓口に問い合わせされたい。

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