【連載】EducAItion Times

NotebookLMで、「思い通り」のスライドを作るポイントは?

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

最近、現場で話題沸騰中なのが Google の「NotebookLM」 です。資料を読み込ませるだけで要約や音声解説、動画解説を作ることができる生成AIですが、特に注目されているのが「 スライド作成機能 」です。

ただ「これでスライド作りが楽になる!」 と思って使ってみたものの、出来上がったスライドを見て、「構成はいいけど、文章のニュアンスを直したい」「誤情報(ハルシネーション)が混じっている」という壁にぶつかり、結局自分で作った方が早いと感じたことはないでしょうか。

しかし、諦めるのはまだ早いです。 実は、スライドを作る前のひと工夫で修正の手間を減らし、自分が本当に作りたかったスライドに近づける方法があります。今回は、「生成AIで骨組みを作り、NotebookLMで仕上げる」という効率的なスライド作成術をご紹介します。

なぜ「一発生成」だとうまくいかないのか?

とりあえず資料を読み込ませて、スライドを一発生成してみる。多くの人が最初に試す使い方でしょう。確かに形にはなりますが、この方法で理想通りのスライドが生成されることはほとんどありません。なぜ、一発生成はうまくいかないのでしょうか。

NotebookLMで「思い通り」のスライド作成の裏側(画像:筆者提供)

うまくいかない最大の理由は、丸投げで AIに「構成(考え)」と「執筆(作業)」を同時にやらせてしまっているから です。AIは指示があいまいだと、確率的に言葉をつなげて文章を作ります。これが「意図しない構成」や「ハルシネーション」の原因です。そこで有効なのが「 スライドの構成を考える 」という過程を設けた、以下の3ステップです。

NotebookLMで「思い通り」のスライド作成の3ステップ(画像:筆者提供)

ステップ①:NotebookLMに「スライド資料」の「材料」を読み込ませる

まずは、Google NotebookLM に、スライド資料の元となる「材料」をアップロードします。「校外学習の計画書」や「指導案」などを読み込ませます。

ステップ①:NotebookLM にスライド資料の元となる「材料」をアップロード(画像:筆者提供)

    ※注意点:個人情報の取り扱い
  • 資料を読み込ませる前に、児童生徒の名前や特定の個人が識別できる情報が入っていないか必ず確認してください。
  • 個人情報は匿名化したり、該当部分を削除したりするなどの配慮が必須です。

ステップ②:「スライド資料」を作る前に「スライドの構成を考える」

次に、読み込ませた資料を元に、NotebookLM(またはGeminiなどの対話型AI)と対話しながら、「スライドの構成」を作ります。

ステップ②:「スライド資料」を作る前に「スライドの構成を考える」(画像:筆者提供)

いきなりスライドを生成するのではなく、まずはテキストだけで構成を練ります。どのような構成案でスライドを作成したいのか、「チャット欄」に下記のようなプロンプトを入力します。

▼ プロンプト例

読み込んだ資料に基づき、校外学習の事前学習用スライド(全10枚)の詳細な構成案を作成してください。小学6年生向けです。修学旅行の目標をみんなで共通理解できることをねらいとしています。

【出力形式】 スライド1枚ごとの「タイトル」と「表示する具体的なテキスト(箇条書き)」を作成してください。そのままスライドに使える形式でお願いします。

出力された構成を見て、「持ち物の説明を詳しくしたい」「このスライドの前に約束事を入れたい」といった修正を加え、「このままスライドに貼り付けてもOK」というレベルまで構成を仕上げます。

ステップ③:NotebookLM で「設計図通り」に資料化する

設計図ができたら、いよいよスライド資料作成の出番です。 NotebookLM の「スライド資料」を開き、「どこに焦点を当てますか?」というチャット欄に、先ほどの設計図(テキスト)をコピーして貼り付けます。

ステップ③:NotebookLM で「設計図通り」に資料化する(画像:筆者提供)

そして、次のように指示を出します。

▼ NotebookLM への指示
(作成するスライドについて説明してくださいの欄に入力)

以下のテキストに厳密に忠実に、スライド資料を作成してください。文章の追加や削除を行わず、この構成案通りの資料にしてください。

【構成案】 (ここにステップ②で作ったスライド構成のテキストを貼付け)

こうすることで、NotebookLMは、与えられたテキストを「スライドという形に整える」ことに全力を注ぎます。生成ボタンをクリックし数分~10分間程度でスライド資料が完成します。実際に完成したスライド資料はこちらです。

※NotebookLMで作成したスライド資料 一部抜粋(画像:筆者提供)

「しっかり考える」ことが、一番の近道

この方法には2つの大きなメリットがあります。

1つは、 ハルシネーション(嘘)の抑制 です。「構成はこのテキスト通りに」と限定することで、AIが情報を補ってしまう余地を減らすことができます。もう1つは、 修正時間の短縮 が挙げられます。最初に「自分の思い通りの構成」を作っているため、出来上がった資料は先生の意図とあまりズレません。「なんか違うから全部直す」という作業がなくなり、結果として完成までの時間短縮につながります。

スライド資料作成におけるAI活用でも大切なのは、「 AIに丸投げしないこと 」です。

「しっかり考える」ことが、一番の近道(画像:筆者提供)

「授業の狙い」や「構成」といった考える部分は、先生自身がしっかりと考え決める。そして、実際のデザインや配置という作業の部分は、NotebookLM に厳密に指示する。

しっかり考えた上で、AIに指示するという方法が、修正が少なく、忙しい先生方の時間を節約する「最も効率が良い方法」ではないかと思っています。ぜひ、次の授業準備や資料作成等で試してみてください。

生成AI活用の留意点

生成AIを活用するに当たって以下の2点は必ず留意しましょう。

①個人情報を入力しない: 学校内の機密情報や個人を特定できる情報は、入力前に必ず除外してください。

②ファクトチェックを行うこと: AIはもっともらしい嘘をつくことがあります。必ず人間の目で確認してください。

生成AIに対して、どれほど厳密に指示を出したとしても、必ずしも100%思い通りのスライド資料になるとは限りません。細かな微調整は必要になります。「AIが8割から9割を仕上げてくれる」と考え、そこから自分なりに最適化していくスタンスが、AIと上手く付き合うコツです。

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IKIGAI lab.

140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。

黒田 一之

教員。大学院生。Microsoft認定教育者。生成AIを活用した特別支援学校教員の校務支援について研究中。生成AIの知見を得るためハッカソン大会等に出場・入賞経験あり。