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動画制作からローカルAIまで、N-E.X.T.ハイスクール構想の学びを支えるHPワークステーション

HPのワークステーション「HP Z6 G5」(手前は「DaVinci Resolve」の専用エディターキーボード)

 生成AIやデータサイエンス、3D設計など、社会のさまざまな分野でデジタル技術を活用できる人材が求められている。高校教育でも、文部科学省は現在、「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」や、2040年を見据えた「N-E.X.T.ハイスクール構想」を進めており、理数系教育や探究的な学びを充実させる動きが広がっている。

 一方で、学びの内容が高度になり、生徒の活動がより専門的になってくると、普段使っている端末やPC教室の端末では、処理性能が追いつかない場面も出てくる。生徒たちの「作りたい」「やってみたい」という意欲を実現するためには、どのような環境が必要なのか。

 日本HP エンタープライズ営業統括 パブリックセクターDX推進営業部 アカウントマネージャーの三浦郁也氏に、これからの高校教育において高性能ワークステーションがもたらす価値について話を聞いた。

日本HPの本社併設ショールーム(東京都港区)。ここにはワークステーションなどあらゆる製品が揃っている

なぜ今、高校で「ワークステーション」が必要とされるのか

 小中学校で進められたGIGAスクール構想以降、高校でも学習用端末の活用が当たり前になった。さらに高校では、卒業後の進学や将来の仕事、社会との接続を見据え、より高度で専門的な学びに取り組む機会も求められている。文部科学省が進める「DXハイスクール」や「N-E.X.T.ハイスクール構想」も、そうした流れを後押しする施策だ。高校のICT環境を充実させるとともに、デジタル分野を担う人材の育成を目指している。

 こうした施策で重視されているのは、生徒がデジタル技術を単に「使う」だけでなく、 自ら課題を見つけ、試行錯誤しながら新しいものを生み出す学び だ。たとえば、3D CADで設計したデータを3Dプリンターで形にするものづくりや、本格的なソフトを使った動画制作、画像認識モデルの開発、生成AIを活用したデータ分析などが挙げられる。

 ただし、こうした高度な学習は扱うデータ量が大きく、複雑な演算処理も必要になる。そのため、普段使っている学習用端末や一般的なPCでは、スペックが足りない場面も出てくる。そこで日本HPは、DXハイスクールやN-E.X.T.ハイスクール構想に取り組む高校に対し、 ワークステーション を提案している。

株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 パブリックセクターDX推進営業部 アカウントマネージャーの三浦郁也氏

 三浦氏は、学習用端末とワークステーションは、そもそも担う役割が異なると説明する。

「学習用端末は、情報を調べたり、教材を見たり、文章や資料を作成したりと、日常的な学習を支えるものです。一方で、動画編集や3D設計、複雑なデータ処理など、生徒が自ら何かを作り出す学びになると、画面の大きさや処理性能が足りなくなることがあります。だからといって、学習用端末を高性能PCに置き換えるべきだ、ということではありません。これからの高校では、 学びの目的や生徒のやりたいことに応じて、端末を使い分けられる環境が必要 になってくるということです。その選択肢のひとつとして、高度な演算処理ができるワークステーションが入ってくると考えています」。

 三浦氏は、高校ではeスポーツの用途においても、ワークステーションの導入が増えていると話す。

圧倒的な信頼性と、教育現場の負担を軽減するHPワークステーションの特徴

 日本HPが提供するデスクトップワークステーション「HP Zシリーズ」は、国内シェア第1位を2年連続維持(※)している。世界中の研究機関や米国国防総省、さらにはNASAといった最高峰の信頼性が求められる現場で採用され続けているのが最大の特徴だ。このプロ仕様のクオリティが、IT専門家が常駐していない学校現場においても大きなメリットをもたらす。

※2024~2025年、出典:IDC's Worldwide Quartely Wrokstation Tracker Share by Company, 2025 Q4

日本HPが教育機関向けに提案するワークステーション「HP Z6 G5」(出典:日本HPウェブサイトより)

 CPUやGPUのスペックさえ満たしていれば、どれも同じだと思われがちだが、注目すべきは、米軍調達基準(MIL規格)を含む過酷なテストをクリアした強固な耐久性だ。長期間の使用が想定される学校では、故障による授業の停止(ダウンタイム)が最小限に抑えられ、現場を預かる教員にとっても大きな安心材料となる。

 また、高度な演算処理中もファンの稼働音が授業を妨げないよう、独自の冷却技術と静音設計が施されており、教室の学習に集中できる環境を保ちながら最大のパフォーマンスを発揮できる。さらに、電源を入れた瞬間からOSの全層を保護する「HP Wolf Security for Business」を標準搭載。サイバー攻撃や意図しない設定変更からデバイスを守る強固なセキュリティ環境が最初から整っている点も教育機関から高く評価されている。

「HP Zシリーズ」はツールレスで簡単に側面パネルを開き、パーツの交換や増設などがすぐ行なえる設計だ

 三浦氏は、予算規模や学習目的に応じた最適な機種選定が、効果的なICT投資の鍵になると語る。そこで、DXハイスクールやN-E.X.T.ハイスクール構想のメインマシンとして同氏がまず挙げるのが「 HP Z6 G5 」。一般のPCに比べると高額になるものの、NVIDIAの最新GPUを最大3基搭載可能な「モンスターマシン」だ。

HPのショールームにあるZ6 G5の展示機にはNVIDIAのグラフィックボードを搭載

 かつては大学や専門学校、一部の専門家しか触ることができなかったワークステーション。それを、国の補助金を活用して高校生が体験できる。このことは、生徒の将来のキャリア形成において計り知れない価値を生み出すと三浦氏は話す。

「今の子供たちはデジタルネイティブで、デバイスに触れる年齢がどんどん低年齢化しています。子供たちのスキルも上がっていますし、学校に高性能なマシンがあれば『触ってみたい』、『このマシンがあるなら、こんなことをやってみよう』という新しい取り組みも生まれやすいと感じています。またワークステーションは、家庭ではなかなか購入できないマシンです。だからこそ、学校になければ一生触れないまま終わってしまう子もいます。 学校に最新のマシンがあることそのものに価値がある と思っています」。

 また、日本HPではワークステーションのほかに、ローカルLLM環境を構築できるマシンとして、 超小型AIスーパーコンピューター「HP ZGX Nano AI Station」 もそろえている。手のひらサイズで、NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchipを搭載。1000TOPSのAIコンピューティング性能を凝縮した。

NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchipを搭載した「HP ZGX Nano AI Station」

 このデバイスは、単独で動かすほか、既存のモバイルワークステーションと組み合わせて演算能力を増強させる「外付けGPU」のような使い方も可能。大規模なAIモデルのプロトタイピングや推論を、外部のクラウドに依存せず学校内のローカル環境で完結できるため、セキュリティとパフォーマンスを両立させたい現場に最適だという。

背面のインターフェース。これだけで動作が可能なようにHDMIをはじめ豊富なインターフェースを持っている

岡山県瀬戸高校の事例にみる、ワークステーションが引き出す生徒の意欲

 ワークステーションの導入が実際にどのような変化を現場にもたらすのか、三浦氏はその好例として岡山県立瀬戸高等学校の事例を挙げた。同校では以前、スペックを抑えたノート型のワークステーションを使用していたが、最新の本格的な動画編集ソフトを動かすには力不足となってしまい、編集作業が止まってしまうほどの処理能力面での課題を抱えていた。

 そこで、DXハイスクール予算を活用して最新の「HP Zシリーズ」を導入したところ、これまで重かった処理が劇的にスムーズになり、生徒たちの活動は一変。今では部活動や探究学習において、生徒たちが順番待ちをして取り合いながら制作に励んでいるという。また、同校ではワークステーションと3Dプリンターをセットで導入しており、自らCADで設計したデータを立体物として出力する実習も行われている。

 単に動画を「見る側」あるいは情報を「消費する側」だった生徒たちが、高性能な武器を手にしたことで、自ら創意工夫を凝らして「 価値を創造する側 」へと成長を遂げている実例がある。

ワークステーションで、生徒が未来を創る環境を

 現在、世界的なAI需要の急拡大によってメモリなどの部材が不足し、納期の長期化や価格上昇が続いている。日本HPでも、グローバルな調達力を生かして在庫を確保しているというが、補助金を確実に活用するためにも、自治体や学校には早期の検討と意思決定が求められる。

 一方、こうした世界的なAI需要の拡大は、ハードの調達だけにとどまる問題ではない。今後は、AI人材をどのように育てるかも大きな課題になってくる。三浦氏はこれについて、これからの時代は、 AIをツールとして使いこなすスキルが重要だ と話す。

 「AIは答える力を持っていますが、求める回答を引き出すためには、正しく質問する力が必要です。たとえば、AIで資料を作る場合も、一度の指示で完成するわけではありません。AIと何度もやり取りを重ねながら、よりよいものに仕上げていく。こうしたリテラシーを、できるだけ早い段階から育てていくことが大切だと考えています。AIや新しいテクノロジーに積極的に触れ、未知の社会課題を解決し、未来を創っていくための クリエイティブ・デバイス としてワークステーションを活用してほしいですね」

 なお、日本HPでは、DXハイスクールやN-E.X.T.ハイスクール構想に取り組む教育関係者に向けて、最適な機器選定から導入後の運用までを支援する専用窓口を開設している。具体的にどのモデルが自校のカリキュラムに適しているのか、予算をどのように配分すれば最も効果的な環境が構築できるのかといった初期段階の相談にも、専門スタッフが対応する。これらのテクノロジーを通じて、次世代の日本を支える人材育成を支援していく考えだ。

HPでは専用窓口を設置しており、早めに相談してほしいと三浦氏
正田拓也