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今後の夢はなんですか?コドモ記者、Maker Faire Tokyoで「楽しむ大人」と「ものづくり」を取材
2025年11月7日 12:03
ものづくりに情熱を注ぐメイカーたちの祭典、「Maker Faire Tokyo 2025」が10月4日・5日に開催された。会場にはAIや電子工作、ロボット、乗り物など、最先端の技術を駆使した作品やガジェットがずらり。そんな大人の本気が集まるテックイベントで、子供たちが「記者」として体験できるのをご存じだろうか。
ベイビートーイの4歳からのクリエイティブスクール「アートデザインラボ」は、子供たちが「コドモ記者」として会場を巡り、メイカーにインタビューして壁新聞にまとめるというワークショップを毎年実施している。今回は筆者も、小5と小1の兄弟と一緒に参加。親子で過ごした一日をレポートする。
親子で楽しいMaker Faire Tokyo、参加型のワークショップも充実
Maker Faireへの来場は、親子ともに今回が初めて。小5の兄は、絵や工作、マインクラフトが大好きで、時間さえあれば何かを作って過ごしている。一方、小1の弟は創作に苦手意識があり、図工の時間も「自分は上手じゃないから」と消極的になりがちだ。そんな兄弟が、Maker Faireやコドモ記者でどんな表情を見せてくれるのか、母としても胸が高鳴った。
まずは、自由に会場を回ってみた。普段なら「ここを見よう」と先導しがちな母だが、今回は子供たちの好きなように動いてみることに。母はただ、後ろから見守る役に徹する。
大人の文化祭という印象が強いMaker Faireだが、子供向けのワークショップも多数開催されていた。そのなかの1つが、「子どもプログラミング喫茶」だ。Scratchやmicro:bit、Viscuit、OctoStudioなど、豊富なプログラミングのメニューから、15分~20分で気軽に参加できるワークショップを選ぶことができる。お菓子好きな長男は、Scratchでマシュマロを焼く「プログラミングトースター」を注文した。
micro:bit champions & friendsのブースでは、推し活ライトや射的ゲームなど、多彩な展示が並び、兄弟は射的に夢中。micro:bitがウチにもあることを伝えると、「えっ、自分でも作れるの!?」と驚いた様子を見せていた。
会場を巡って実感したのは、その広さ。一歩進むごとに面白い展示・作品と出会い、これから参加するコドモ記者で子供たちが何を発掘し、どんな取材をするのか楽しみになった。
コドモ記者がメイカーに直撃取材!今後の夢はなんですか?
そうこうしていると、コドモ記者の集合時間に。ここからが本番だ。所要時間はおよそ1時間30分。最初に、取材のマナーを教わる。「こんにちは、質問してもいいですか?」「ありがとうございました」といった声かけの基本、そして取材中はしっかりメモを取ることも学ぶ。
参加者は4~5名のグループに分かれ、お揃いのベレー帽姿で会場へ。3つのブースを目安に取材を行い、最後は気に入った作品を1つ選んで、来場者に紹介する壁新聞を作成するという流れだ。
コドモ記者が足を止めたのは、「NPO日本水中ロボネット」のブース。水を張ったプールの中に、水中ロボットが展示されていた。ロボコンの実行委員や実際にロボット制作に携わった技術者を相手に、取材がスタート!ロボットがLANケーブルとタミヤのキットを使って作られていることや、水中で問題なく動作できるように防水を施すテクニックの難しさについて教わった。
ひとしきり説明を聞いたあと、コドモ記者から飛び出した質問は「今後の夢はなんですか?」。専門家を前に、いきなりの直球質問に、母は「おお…!」とひそかに緊張したが、やさしく応じてくれた。
「僕の夢は水中ロボットを作ることだったので、すでに叶っているんです。でも、これからは『海の中のものをいっぱい見せたい』『素敵なものを見つけたい』と思っています」と、まっすぐに語ってくれた。夢を叶え、自分のやりたいことに打ち込む大人の姿は、「好き」の先に道が拓けることを示してくれるようだった。
次に訪れたのは、兄が「いちばん心に残った」という、モノづくりサークル「モノトコ」のブースだ。展示されていたのは、NHKの番組『魔改造の夜』に出場した島津製作所のモンスター「魔砲恐竜カノンちゃん」。この「魔砲恐竜カノンちゃん」こと”恐竜ちゃん”は、第1回目の放送で登場したもので、「本物だ!」と興奮していた。
缶蹴りで「どれだけ缶を遠くに蹴り飛ばすことができるのかを競う」テーマのもと生まれた恐竜ちゃんは、自作のエアシリンダで缶を蹴り飛ばす大迫力の装置。実際に制作に携わった担当者から、1蹴りで缶を30メートル飛ばすパワーの秘密を教えてもらい、聞き入っていた。
途中、コドモ記者たちが取材を忘れて没頭したのは、大量の「ソレノイド」。突起のついた四角いパーツが密集した、不思議な箱だ。手を乗せると、ランダムにピコピコと押し返してくる感触が気持ちいい。
わさっと配線が生い茂るように広がった装置を前に、製作者は「中の配線がすごいことになったけど、いっぱい繋げたら僕のテンションが上がった」と笑った。後で調べてみると、ソレノイドは電気エネルギーを直線運動に変える電磁部品らしい。難しいしくみの背景にある「面白いから作った」「自分が見たかったから作った」という純粋な動機に、ものづくりの本質を見た気がした。
一方、弟のお気に入りは、オオカミ型の四脚ロボット「ライカン」。「まるで本物のペットのように骨のおもちゃをハムハムする姿(本人談)」に、「本当に食べてるみたい!」と目を丸くしていた。操作も体験させてもらい、「歩く」「座る」などのコントロールを試みたが、「めっちゃむずかしい」と苦戦。それでも「家にいたら毎日遊ぶのに」と目を輝かせていたのが印象的だった。
子供の目線で切り取る新聞、取材をしたら創作意欲があふれてきた
コドモ記者の活動は、見るだけでは終わらない。取材の後は、「babytoi Art Design Lab」のブースで、新聞制作に取り組む。文章を書いたり、絵を描いたり。発見したことを整理しながら、自分の言葉で表現していく。
出来上がった新聞は、紹介する作品のジャンルごとに5メートルの壁に掲示される。どれも力作ぞろいで、子供の目線で紹介される言葉には、「こんな作品があったのか」と思わずハッとするような発見があった。
記者活動が終わったあと、すぐに解散かと思いきや、兄弟は足早に創作スペースへと向かった。そこは「コドモ記者」と並んで親子連れに人気を集めていた「コドモデパート」。100種類以上の素材がそろい、子供たちが自由にものづくりに没頭できる空間だ。
家ではいつもお菓子の箱や空き容器をかき集めては、何かを作ろうとしている兄にとって、まさに宝の山。見た瞬間から創作モードに突入し、あれこれ素材を手に取り始めた。すると、その隣で、弟が大きな布を手に、黙々とハサミを動かしはじめる。
いつもは創作に対して消極的な弟が、自分から服作りを始めたことに驚きつつ見守っていると、「ママのドレスを作ったよ」と真剣なまなざし。初めて自発的にものづくりに向き合う弟の姿に、思わず胸が熱くなった。
大人の本気のものづくりにふれ、子供たちの心にも「自分で作るって面白い」という気持ちが芽生えたのかもしれない。そんな風に、小さな変化を生み出す力が、Maker Faire Tokyoにはあると実感した。














































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