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特別支援の実践知が教材に、インクルーシブ教育教材コンテスト入賞作が決定

全日本学校教材教具協同組合と、筑波大学附属大塚特別支援学校が共催する「第3回インクルーシブ教育教材コンテスト」の入賞作品が決定(出典:全日本学校教材教具協同組合、以下同じく)

全日本学校教材教具協同組合は、筑波大学附属大塚特別支援学校と共催した「第3回インクルーシブ教育教材コンテスト」の入賞作品を2026年2月3日に発表した。

同コンテストは、「あの子の教材を、みんなの教材に」をテーマに、子供の困りごとに寄り添うアイデアを起点として、すべての子供に開かれた学びへと広がる教材を募集する取り組みである。

募集期間は2025年8月1日から11月30日までで、応募総数は195点にのぼった。応募部門は知的障害と発達障害の2分野に分かれ、就学前から高校生までを対象としたクラスに加え、福祉・一般の部も設けられた。なお、教員だけでなく一般からの応募も含まれている。

審査方法は、審査員が選出する最優秀賞・優秀賞・特別賞と、来場者投票のオーディエンス賞があり、2025年2月27日(金)に浦安ブライトンホテル東京ベイで実施する最終審査・表彰式でオーディエンス賞が決定する予定だ。

入賞作品には、視覚的にわかりやすく子供の活動を支援する教材や、生活動作の理解を助ける教材、算数や体育の学習において子供たちが参加しやすくなる工夫を施した教材などが入賞している。いずれも特別支援教育の現場で生まれた実践的なアイデアを基にしており、日々の授業や活動の中で培われた工夫が反映されている。

同コンテストは、「発信」「評価」「学び合い」をキーワードとして、教育現場で生まれた教材や実践を共有し、互いに学び合う場を創出することを目的として企画されている。全日本学校教材教具協同組合では、受賞作品について商品化の可能性を検討するとともに、応募教材の情報を広く共有する方針だ。

入賞作品【就学前の部】

保育のひみつ道具
伝えたいことを可視化し、伝える側も受け取る側も楽しくなるように考えた教材。視覚でわかりやすく伝えることにより、子供たちの主体性を大切にし、かつスムーズに活動を進められるという。

「保育のひみつ道具」(鈴木真耶氏)

入賞作品【小学生(知的障害)の部】

インクルボタン
ボタンの付け外しを練習するための教材。ボタンの付け方や外し方を練習するのが主目的ではなく、ボタンの付け外しの過程を理解することに重きを置いている。

「インクルボタン」(小田原市立豊川小学校 赤松陽子氏)

読みきかせ絵本「ひとりでうんち」
うんちをする絵本はあるが、教育で使える内容のものが少ないと感じたことがら創作した作品。トイレでうんちをすることへの心理的なハードルが少しでも下がることを目指している。

読みきかせ絵本「ひとりでうんち」(愛知県立瀬戸つばき特別支援学校 森 美幸氏)

入賞作品【小学生(発達障害)の部】

動かすからわかる、計算サポーター
発達障害のある小学生の算数指導をする中で生まれた教材。数の合成分解をサポートする「MathBar」、四則計算の筆算をサポートする「MathPad」、九九の想起をサポートするペンシル型の教具「九九Bar」で構成しており、数の概念や計算手続きの理解を促すことが目的。

「動かすからわかる、計算サポーター」(広島大学大学院 人間社会科学研究科 山下祥代氏)

プレートベースボールー経験差を越えて、誰もが参加できるベースボール型学習教材ー
経験や技能の差に左右されやすいベースボール型学習において、児童の「動くボールを打ってみたい」という願いを出発点に、誰もが参加できる学びのデザインを目指して開発した教材。

プレートベースボールー経験差を越えて、誰もが参加できるベースボール型学習教材ー(大阪市立北粉浜小学校 前島有希氏)

入賞作品【中学生の部】

ビジョントレーニング(ペットボトルキャップキャッチャーでキャッチしよう!)
追視と運動を連動させてトレーニングする教材。キャッチャーで取ったときの感覚を楽しみながら活動することが可能だ。

ビジョントレーニング(ペットボトルキャップキャッチャーでキャッチしよう!)(新発田市立佐々木中学校 西野陽子氏)

フロアクライミング
オリンピックで活躍する日本人選手のスポーツクライミングの姿に感銘を受け、競技の特性をヒントに教材を開発。誰でも安全に楽しみながら、個々の力を伸ばすことを狙いとしている。

フロアクライミング(福井県立盲学校 玉本憲司氏)

入賞作品【高校生の部】

スカットボッチャ
ボッチャの得点が生徒にとってわかりにくく、ルールも難しいことから「穴に入った合計点」で競う競技の教材を作成。Excelと電子黒板を利用して、点数計算がわかりやすくなるように工夫した。

スカットボッチャ(上越特別支援学校 伊藤勇夫氏)

ぼたんつけの練習
ボタン付けや、糸が抜けない縫い方を生徒に身に付けさせたいと思ったことから模擬ボタン付け教材を制作。生徒が扱いやすく、手順を覚えやすいように大型にしている。

ぼたんつけの練習(神奈川県立保土ケ谷支援学校 横浜平沼分教室 幸田京子氏)

入賞作品【福祉・一般の部】

オニドレ(おにぎりどーれだ!?)
親が引いたカードの「お題」に沿った「おにぎりカード」を自分の手札から出すゲーム教材。お題に適したカードや親の考えを推理することで、抽象概念や相手の思いを想像する力を育むことを目指したもの。

オニドレ(おにぎりどーれだ!?)(伊東秀敏氏)

TETTO
手話に興味を持つことがあっても、「実際にやってみよう」という気持ちになるにはハードルが高いと感じたことから制作。誰でも簡単に楽しく、より身近なもので、手話を覚えるきっかけをつくることを目的としている。

TETTO(学校法人 聖書学園 千葉英和高等学校 代表生徒 澤井美波さん・飯嶋美香さん)