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戸田市、「指導の重点・主な施策」の2025年度版を公開
2025年5月12日 12:03
埼玉県戸田市は、同市教育委員会のWebページに「令和7年度 指導の重点・主な施策」のPDFファイルを公開している。本稿では、多くの自治体にとって参考になりそうな本資料の概要を紹介する。
戸田市では、「指導の重点・主な施策」を毎年作成しており、全国各地の教育委員会から同冊子に関する問い合わせがあるという。令和7年度版では、令和6年度に実施した学習状況調査や学校訪問などを通して明らかになった課題の解決、日々の授業改善に向けて学校で行う教育活動の指針をまとめている。
同市は、「第4次戸田市教育振興計画」において、子供たちが可能性に挑戦し続ける力を育むための学びの実現や多様性を尊重し、誰一人取り残さない学びを保障することと、個別最適な学びの推進を掲げている。市立小中学校においては、小学校中学年において「総合的な学習の時間」を削減し、外国語(英語)活動を35時間実施できることを規定した。
また、アクティブ・ラーニングの視点から授業改善を図ることを目的とした「指導用ルーブリック」を掲載。授業を自己評価・他者評価するときの5つのポイントを明確に示した。特に、「児童生徒が目標を理解して課題に興味を持って取り組んでいたか」「児童生徒が『わかったこと』『できたこと』など、学びの成果や課題を実感していたか」は、授業の根幹となるとしている。
授業改善のポイントとしては、学力が特に伸びている市内小中学校について教職員調査の回答を分析。教員が日々の授業でこだわっているポイントを「効果的な指導方法(グッドプラクティス)」に設定している。その上で、子供の考え・関心を引き出して子供の意見をほかの子供につなげ、練り上げて深めるために必要な「教師の関わり方」をわかりやすく紹介した。
さらに、2024年度に実施した「学校経営リフレクション」を振り返り、間違いや誤った意見も大切に扱い「子供たちが意見を述べやすい雰囲気作りをしているか」、ルールや決まり事を決めるとき「子供自身が自己決定したと感じられるようにしているか」を2025年の重点項目と定めた。また、ユニバーサルデザインの視点から子供を主語にした「課題解決型学習のポイント」も図説している。
「教育総合データベースの活用と留意点」では、子供に関するデータを一元化し、ダッシュボードを通じて効率的に確認・分析する活用方法と留意点を掲載。ダッシュボードの活用例を通じて、個々の児童生徒のデータを参照し、個別指導や支援に活用する方法を紹介した。
冊子は、12ページで構成されており、無料でダウンロードが可能だ。同市における過去の取り組みのほか、学力調査などのデータをもとに指導主事が内容を構成。管理職や教職員が確認すべきチェックポイントを見ながら読み進めることができる。