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AIを使った小学生向け英語パフォーマンステスト「Clara」を全国へ提供開始、エー・トゥー・ゼット

AIを使った小学生向け英語パフォーマンステスト「Clara」(クララ)

株式会社エー・トゥー・ゼットは、AIを使った小学生向け英語パフォーマンステスト「Clara」(クララ)を、全国の公立小学校へ提供開始する。

2022年9月より長野県内の公立小学校を対象にテスト導入を実施しており、AIによる評価の正確性や評価結果の授業改善への活用についての実証実験を進めてきた。これを正式版として全国の公立小学校へ提供を拡大する。

「Clara」は、エー・トゥー・ゼットがアイード株式会社と提携し開発した。エー・トゥー・ゼットがALT(Assistant Language Teacher)派遣を通じて蓄積してきた小学生の英語教育におけるノウハウと、アイードの英語スピーキング評価AI「CHIVOX(チボックス)」を連動させることで実現した。

提供の背景としてエー・トゥー・ゼットでは、文部科学省が発表した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果で中学校の英語のスピーキング力が低いこと、公立小学校の教科で英語力強化が進んでいること、日本人教師が英語スピーキングに自信を持てないことなどを挙げている。

そこでエー・トゥー・ゼットではアイード株式会社と、小学生の英語教育を支援するための英語パフォーマンステストを開発。2022年9月から長野県内の公立小学校で約8か月にわたりテスト導入を行った。その結果、現場での活用および授業改善の具体策に繋げることが可能になったとして、小学生向け英語パフォーマンステスト「Clara」として正式リリースし、提供エリアを全国に拡大した。

■「Clara」概要

「Clara」という単語は古代ギリシャ語で「明確」という意味を持ち、子どもたちの得意なことと苦手なことを明らかにし、一人ひとりが何を練習すれば英語が話せるようになるかを明確にしていきたいという意味から名づけられた。

なお、テストに登場するキャラクターは古くから「知恵の象徴」「学問の象徴」とされているフクロウの「クララ」。

テストでは、各自に割り当てられたID/パスワードで児童はClaraにログインし、目的・場面・状況に応じた各テストとテスト実施の説明動画を選択する。

そして説明動画にて、テストの流れや注意点等を確認し、フクロウの「クララ」と一緒に、問題文を聞いて、音声で回答を吹き込む。

  • 内容:学習指導要領に則る
  • 対象となる要綱:「聞く、話す(やり取り、発表)、読む、書く」の4技能5領域のうち、話す技能のやり取りと発表の2領域
  • 対象学年:小学6年生
  • 必要なデジタル端末:タブレット、PC
  • 契約期間:基本的に一年間

■長野県での実証実験の結果

エー・トゥー・ゼットが長らくALTを派遣しカリキュラム構築も支援することで小学生低学年から英語に馴染んでいるA町学校の児童は、総合点と「発音」の平均点が、全体平均を大きく上回る結果となった。

これについてエー・トゥー・ゼットは、従来ではこの成果を定量的に測ることは困難だったが、「Clara」の導入により成果が可視化されたとしている。

長野県内小学校の実証実験結果より抜粋。ほか「流暢さ」「文法」のカテゴリー有

また、ルーブリック評価のネイティブや英語指導の専門家の採点結果と比較して、AI自動採点が約96%の正答率を達成した。

なお、録音者の声が小さい、発声が不明瞭、雑音などが影響して適正な採点ができなかった音声もあった。これらは、受験環境の整備によって排除に繋げられること、システム面の改善も重ねることでさらに向上できるとしている。