ニュース

デジタル教育コンテンツ市場規模、前年度比11.1%増の632億円

矢野経済研究所、2022年度の調査結果を報告

株式会社矢野経済研究所は、2022年度の国内のデジタル教育コンテンツ市場について調査を実施し、分野別の市場動向、参入企業動向、将来展望について報告した。

・市場概況

2022年度のデジタル教育コンテンツ市場規模(「映像授業」「デジタル教材」「授業・学習支援ツール」3分野の合計)は、事業者売上高ベースで前年度比11.1%増の632億円となった。調査対象3分野のうち、「映像授業」は前年度割れとなったが、残りの2分野は経済産業省の「EdTech導入補助金」によるコンテンツ導入のハードル低減などが寄与し市場拡大となった。

・注目トピック~メタバースを活用した学習サービスのリリースが活発化

2020年前後より学習塾や英会話などでメタバースを用いた学習サービスが登場しており、2022~2023年にかけて関連サービスのリリースに活発化がみられると報告された。

これらの学習サービスは、オンライン上でも対面での学習指導と同等のコミュニケーションを実現する目的で提供されるケースが多い。また不登校の問題を抱える生徒も参加しやすいことや、対面での質問等が苦手な生徒もコミュニケーションがとりやすいこと、海外訪問や危険な理科実験など現実世界では体験できないような学びを体感できることなども、矢野経済研究所では特長としている。

・将来展望

2023年度は、デジタル教育コンテンツ市場の伸び率は鈍化傾向で推移するものと矢野経済研究所では見ており、2023年度のデジタル教育コンテンツ市場規模は前年度比0.5%増の微増で635億円を予測している。

その理由としては、「EdTech導入補助金」の付与がなく、予算を捻出できない自治体・学校では学習用ソフトウェアの導入を制限する方向に進んでいることや、民間教育では大学入試の変容により一般選抜に対応した学習需要に停滞がみられていること、コロナ禍を境に活発化したデジタル教材の導入にも落ち着きがみられていることなどが挙げられている。

【調査要綱】

  • 調査期間: 2023年2月~6月
  • 調査対象: デジタル教育コンテンツ提供事業者
  • 調査方法: 矢野経済研究所専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
  • 発刊日:2023年6月23日