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Sensor Tower「2022年世界の教育アプリ市場インサイト」レポートを発表

2021年の世界の教育アプリの売上は22億ドルに

Sensor Tower「2022年世界の教育アプリ市場インサイト」レポートを発表

グローバルな調査会社のSensor Towerは、教育アプリに関するレポート「2022年世界の教育アプリ市場インサイト」を発表した。無料で全文ダウンロードできる。

・新型コロナウイルス拡大によるオンライン教育市場の盛り上がり

2019年の教育アプリダウンロード数は28億で、2020年は39億回と、40.8%増加した。その後、2021年には36億回とダウンロード数はやや減少しているものの、新型コロナウイルス流行前の水準を上回っている。

2022年1月~9月の期間には24億回ダウンロードされた。Google Playのユーザーが60.3%、iOSのユーザーが39.7%を占めている。

Sensor Towerでは、「新型コロナウイルスの影響により、程度の差こそあるものの、世界的にオフライン教育が制限されたことが教育アプリ(特にオンライン教育アプリ)のダウンロード数の大幅な増加につながりました」と分析している。

世界の教育アプリ年間ダウンロード数の推移

世界の教育アプリ年間収益も着実に増加し、2021年には2019年の2倍となる22億ドルを突破した。

2022年1月~9月の期間には、世界の教育アプリ総収益は18億ドル。Appleユーザーが85.4%と高く、そのうちiPad端末による収益が29%を占めている。

世界の教育アプリ年間収益の推移

・アジアのダウンロード数が最も多く、北アメリカで大幅な収益増加

新型コロナウイルス流行によって、世界的に教育アプリのダウンロードが増加した。この時期、世界の人気教育アプリ市場の四半期別ダウンロード数は、2019年第4四半期と比較して、いずれも20%以上増加した。

その中でもアジアの教育アプリのダウンロード数は2020年第1四半期に4.6億回に達した。前期比54%増となり、新型コロナウイルス流行期に最も大きく伸びた地域となった。

2022年第3四半期は、アジアが3.8億回と1位を維持。ヨーロッパと北アメリカがそれぞれ1.6億回と1.1億回で、2位と3位となった。 このように、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの3大市場が、近年教育アプリの収益が伸びている主な市場だという。

世界の教育アプリ年間ダウンロード数の推移(地域別)

特に北アメリカでは、教育アプリに対するユーザーの支出が、2022年第3四半期に2.9億ドルを超え、2019年第4四半期から156%増となった。同じくユーザーの支出で、ヨーロッパが1.4億ドル、アジアが1億ドルで、それぞれ2位と3位となった。

また北アメリカでは、教育アプリの収益が2020年初めと2021年初めでそれぞれ段階的に伸びている。これについてSensor Towerは「言語学習アプリが大きく貢献したと言えるでしょう」としている。

世界の教育アプリ年間収益の推移(地域別)

・アメリカで最も人気のある言語学習アプリは、依然として「Duolingo」

言語学習アプリ「Duolingo」は、長きにわたりダウンロード数および収益のランキングでトップクラスにいる。2020年にアメリカの教育アプリ収益ランキング1位を獲得。2022年上半期には6,800万ドル以上の収益をあげ、教育アプリで再びアメリカの収益ランキング1位となった。なお、同カテゴリの製品「Babbel」も収益ランキング5位だった。

ダウンロード数においては、ドリル&解答アプリの競争が激しい。2022年上半期のトップ10に「Photomath」「AIR MATH」、「Brainly」の3タイトルがランクインした。

2022年上半期のアメリカにおけるモバイル教育アプリダウンロード数&収益ランキング

東南アジアでは、2022年上半期における、教育アプリダウンロード数ランキングトップ10のうち、5つをドリル&解答アプリが占めた。その中で、「QANDA」が700万ダウンロードでトップに立った。

また、「Lingokids」「Babilala」「Bible App for Kids」の3つの早期教育アプリがトップ20にランクインした。

収益の面では、早期教育アプリの「Lingokids」が東南アジアで2022年上半期で1位になった。

これについてSensor Towerでは「東南アジアでは早期教育および試験対策に関する教育に強い関心があることが伺えます」としている。

また収益貢献度では、シンガポールが20.9%と1位。なお、シンガポールはダウンロード数は東南アジア市場の2%未満だという。収益ではベトナムが20.1%で2位となっている。

2022年上半期東南アジアのモバイル教育アプリダウンロード数&収益ランキング

・言語学習および早期教育アプリが新型コロナウイルスの流行期に大きく成長

「Duolingo」は、新型コロナウイルスの流行の影響により市場を拡大し、アジアでも市場を獲得した。2022年上半期の時点で、インドがアメリカを除いた最大の市場となっている。

また、東南アジアで急成長を遂げているのが、韓国のCake Companyがリリースする「Cake - 英語と韓国語を学ぼう」で、2019年末に東南アジア市場に参入し、年間1,200万ダウンロードとなった。

「ELSA - 英会話を学ぶ」は2021年に、東南アジア、ラテンアメリカ、インドなどの新興国市場に進出し、順調にダウンロード数を伸ばしている。

世界の人気言語学習アプリダウンロード数の推移

早期教育アプリ市場も同様に、新型コロナウイルスの流行後の影響を受けた。言語教育の「Lingokids」は、ポストコロナ時代に世界で最もダウンロードされる早期教育アプリへと急成長している。「Kiddopia」も順調に伸びている。

同時に、ABCmouse.com(アメリカ)、iHuman Chinese(中国)、Voot Kids(インド)などでは、自国市場に対する支配力も依然として強固なものとなっている。

世界の人気早期教育アプリダウンロード数の推移