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マウスコンピューターと信州大が挑む校務DX、小・中・特別支援学校の先生が語る「校務PC」に必要なものとは?

〜信州大学教育学部附属3校による先生座談会

チョークの粉がキーボードに積もる。体育館の振動にさらされる。教員が学校で使うPCは、オフィスや家庭で使う状況と異なる。校務DXが進められている今、教員はどのようなPCを求め、学校のICT環境の何に課題を感じているのか。

株式会社マウスコンピューターと信州大学教育学部は2026年6月、ICTを活用した教育分野での共同研究などを柱とする包括連携協定を締結した。その最初の取り組みとして、附属長野小学校・長野中学校・特別支援学校の教員向けにノートPC「 MousePro C4 」を段階的に配備。教育現場で活躍している各校の6名の先生方に、新しい校務PCの使い心地と、教育現場のICTが抱える課題について語り合っていただいた。

信州大学教育学部附属長野小学校・長野中学校・特別支援学校
長野市にある信州大学教育学部の附属校。子どもと直に向き合い、教育の理論と実践を往還しながら「臨床の知」を育む場として、大学と附属校が一体となった教育・研究に取り組んでいる。信州大学教育学部は松本キャンパスにも附属学校園を設置している。

左より、信州大学教育学部附属長野小学校・長野中学校・特別支援学校

PCを使わない業務はもうない。それでも“待たされる”ストレス

ー先生方は普段、校務PCをどのように活用されていますか?

赤羽(中学校/敬称略) 中学校の校務では、GoogleフォームやGoogleドキュメントなどのGoogle系アプリをよく使います。最近だとCanvaだったり、GeminiやGemini Notebook(旧NotebookLM)など生成AIを使って作業することも増えていますね。

齋藤(中学校) そうですね。あと、中学校ではテストの採点も校務PCで行っています。集めたテスト用紙をスキャンして専用のアプリで採点するのですが、手作業していた頃と比べて業務の負担がかなり軽減され、採点も短時間で終わるようになりました。共同で作業できることもメリットのひとつなんですよね。

長野中学校 赤羽洸介先生
長野中学校 齋藤有人先生

小林(小学校) 小学校でも、 もはや校務PCを使わない業務を探す方が難しい くらいです。教材づくりや保護者との連絡もすべてPCで行いますし、今は教員用端末が1台なので授業でも校務でも、使っています。職員会議もペーパーレス化がかなり進んでいるので、紙の業務もほとんどないと思いますね。

島田(小学校) 本当にそうですよね。朝学校に来たらまずPCを立ち上げて、一日じゅう使っている感じ。教材づくり、資料づくり、授業でも校務でも、使わない時がないくらいの頻度で使っています。

長野小学校 小林勝俊先生
長野小学校 島田祐次先生

熊市(特別支援) 私も同じような感じですね。使い方として助かっているのは、PC画面をモニターに映して児童・生徒に伝えられることですね。特別支援学校の子どもたちはテキストよりもイメージの方がすんなり頭に入る特性を持っている場合が多いので、視覚的に見せられるのが重宝しています。

市岡(特別支援) たしかに。私も教材をPCで見せながら活動を進めていくという使い方をするのですが、私がPCを持っていると子どもたちが興味を持って触りたがるので、あまり目を離さないようには気をつけています(笑)。ただ、子どもたちが使いたくなるという意味では、悪いことではないですけどね。

特別支援学校 熊市真也先生
特別支援学校 市岡祥一先生

――先生方が以前使われていた校務PCで、不便に感じられていたのはどういう部分ですか?

熊市(特別支援) 教員って仕事が多くて、ExcelもPowerPointもWordも開いて、さらにネットで情報を探して、クラウド上の写真や動画にアクセスして…といろいろなことを同時にしているので、重くなってきて待たされることが多いんですよね。その間に別の作業をこっちでやろうと切り替えて、また止まって、ということがありました。

小林(小学校) わかります。私の場合は、朝、校務PCの電源を入れて、そのままトイレに行くのが習慣でした。戻ってきた頃にやっと起動するみたいな(笑)。

(わかる、わかると全員うなずく)

小林(小学校) ただ、それが授業中だとそうはいかないんです。起動するときも、アプリを動かすときも、「待っててね」と言っている間に、 子どもたちの集中や興味の糸が切れていってしまう。それが教師として一番嫌なんですよね。

「持ち運ぶことが前提」、先生たちが校務PCに求めるもの

ーそうした状況のなかで、校務PCを選ぶとしたら、何を優先されますか。

赤羽(中学校) 中学校は教科担任制で教室移動が多いため、持ち運びやすさは重要です。授業ではモニターを使うので、画面サイズは多少小さくても構いませんが、それよりも、 軽量であること、堅牢性が求められますね。 それから、午前中すべて授業という日もあるので、4〜5時間は持つバッテリーが欲しいですね。

島田(小学校) バッテリーは重要 だと思います。会議中に充電が切れて、出席者が充電器を取りに行っているあいだに議論が停滞してしまうこともありますから。あとは頑丈さですね。子どもたちが大勢いる場所で使うので、ぶつかった拍子に落としてしまうこともあり得ます。

赤羽(中学校) そうそう、いろんな場所で使うので頑丈であることって大切ですよね。前任校では、プールの授業で直射日光にさらしてしまって故障した事例がありました。

島田(小学校) あと、 ホコリにも強いといい ですね。黒板の前で使っていると、PCのキーボードにチョークの粉が積もるので……

(「あるある」と全員頷く)

校種は違えど、校務PCの「あるある」で共感し合う先生たち

市岡(特別支援) 結局、教員はPCを机に置いて使っているだけではないんですよね。私も体育の授業では、PCとモニターを外まで持っていきます。以前は、教材を印刷してラミネートして持っていきましたが、PCならその場で編集して、すぐにモニターに映せる。それだけ便利なんです。

島田(小学校) そうですね。小学校でも、体育館でプロジェクターにつないで映像を見せることがあります。子どもたちが走り回ると意外に振動もすごいので、やはり頑丈さは大事です。

市岡(特別支援) そうそう。特別支援では実際、校務PCの画面が割れて修理をお願いしたこともありました。自分たちが落としてしまうこともあれば、子どもたちとの接触で落としてしまうこともあります。

小林(小学校) やっぱり、校種に限らず、 持ち運ぶことが前提 になりますよね。小学校でも研究室で教材研究をして、職員会議があるから1階まで下りて、また授業があるから教室へ、といろいろな場所で使いますから。

齋藤(中学校) あとは地味ですが、キーボードも大切です。経年劣化で使いづらくなりますし、打ちやすさは日々の業務にも影響します。壊れにくく、使いやすいものがいいですね。

赤羽(中学校) ほかにも機能面では、指紋認証があるといいなと思います。今はパスワードでロックを解除していますが、大勢の目がある場所で使うことも多いので、指紋認証ならパスワードが見られるリスクも減らせると思います。

軽さと起動の速さを実感、新しい校務PC「MousePro C4」

ー今年度から、新たな教員向けノートPCとしてMousePro C4が段階的に導入され始めました。使ってみていかがですか?

今年度から導入された「MousePro C4-I5U01BK-B」。標準構成は、Windows 11 Pro/インテル Core i5-1235U/メモリ 8GB/256GB SSD/14型フルHD。本体重量約1.37kg(標準構成時)、厚さ約20.5mm、バッテリー駆動は最大約10時間(JEITA 3.0・アイドル時)3年間センドバック修理保証・24時間×365日電話サポート
※導入モデルはカスタマイズで、メモリ16GB、ストレージM.2 SSD 500GB(NVMe)、カスタマーサポート5年間の延長保証を追加

赤羽(中学校) 実は中学校では配布されたばかりで実機を触れていないんです。ちょっと持たせてもらってもいいですか?(持ってみて)…あ、軽い。圧倒的に軽いですね(笑)。

熊市(特別支援) そう、軽いんですよ(笑)。今日も特別支援学校の校舎からここ(中学校の校舎)まで小脇に抱えてきましたが、 重さは感じませんでした 。特別支援学校では夏休みに入る前に貸与されたので、まだ授業では本格的には使っていませんが、これからいろいろな場所で使うようになると、より持ち運びやすさを実感できると思います。

市岡(特別支援) コンパクトなのもいいですね。以前は15.6インチのPCを使っていたので、最初は正直、「画面が小さく感じて見えづらいかな」と思ったのですが、使い始めると不便に感じることはなかったです。 このサイズなら机に紙の資料を広げながら作業できる のもいいですね。

熊市(特別支援) あとは処理能力も高いので、 いろんなアプリを開いて並行して作業しても動作が重くならない 。以前に比べて、ストレスが減りましたね。

MousePro C4を手に取り、「軽い!」と驚く中学校の赤羽先生(左)と齋藤先生(右)

小林(小学校) 小学校では、2026年4月から貸与されているのですが、とにかく 起動が速くて助かっています 。今は朝、電源を入れてもトイレに行かず、そのまますぐ作業に取りかかれるようになりましたから(笑)。

島田(小学校) 私は、薄くてすっきりしているところがいいなと思います。一方で、3ヶ月ほど使ってみて、もう少し動画編集アプリなど普段の授業で使えるソフトがあるといいなと思いました。教員のPC環境が充実すれば業務も楽になりますし、できることが増えて、授業の幅も広がるのではないかと感じています。

齋藤(中学校) 中学校はこれから使い始めますが、今の教育現場ではコンパクトで高性能なPCが求められているので、MousePro C4は非常にマッチすると思います。先ほど少し触らせてもらったのですが、キーボードも打ちやすいですよね。

赤羽(中学校) 私は、今使っているPCは少し重いので、研究室に置きっぱなしにして教室へはタブレットを持っていくようにしています。MousePro C4なら持ち運びやすそうな重さとサイズなので、これから使うのが楽しみです。

MousePro C4の満足している点は、「持ち運びやすさ」と「動作速度」(※信州大学教育学部附属3校の教員アンケートより、n=74)
●教員の働き方から考えた、MousePro C4を選んだ理由
(信州大学教育学部 学術研究院教育学系 准教授 森下孟 氏)


ポイントとなったのは、まずは持ち運びやすいサイズ感。これまでの校務PCは15.6インチと大きく、基本的には研究室や教室に置きっぱなしという運用だったため、新しい校務PCの選定においては、先生方が持ち運びやすいコンパクトさと薄さを重視しました。

それから堅牢性。いろいろな場所に持ち運ぶことを前提としていますから、環境の変化に強く、壊れにくいことが重要でした。私は、GIGA端末が浸透してきたことで、メーカー問わず端末のスペックは均一化してきているという感想を持っています。そんななかで、MousePro C4のコストパフォーマンスと、地元企業であるマウスコンピューター社のサポートは突出したメリットだと感じました。

どこにでも持ち運べて、生成AIも活用できるスペックを持ち、アフターサポートも充実している。MousePro C4は校務PCとしての機能を十分以上に備えたPCだと考えています。
中学校の本格利用はこれから。座談会後、MousePro C4を試用する齋藤先生

端末の機能や生成AIを使いこなすうえで重要な課題とは

ー校務DXを進めるにあたり、学校のICT環境で課題に感じていることは何ですか

齋藤(中学校) 場所や時間によって ネットワークがつながりにくいこと ですね。本校の場合は職員室がつながりにくいので、職員会議のときにはあらかじめ資料をダウンロードしておくなど工夫をしている教員も多いのです。

島田(小学校) そうなんですね、小学校でも、ある時間帯だけつながりにくいときがあるんですよね(笑)。

赤羽(中学校) 地域によっては、校外からでも学内のネットワークにアクセスできる環境だと聞いています。場所を選ばずに仕事できるのはいいですよね。

市岡(特別支援) ネットワークの不安定さとは少し違いますが、本校ではセキュリティの観点から、校務用データをNASとクラウドに分けて保存しています。 データの性質によって有線と無線を使い分ける必要があり、やや煩雑 なので、そのあたりが整理されるといいですね。

教育現場では機微な情報も扱うので、自分が扱っているデータがどこに保存され、誰と共有されているかがわかる仕組みがあるといいと思います。「どこにあるかわからない」という不安から、ローカル環境に保存する教員も多いので、そこが可視化されれば、クラウドをもっと安心して活用できるのではないでしょうか。

校務用データは有線LANにつないでアクセス
教員の困りごとは「校内ネットワークの不安定さ」が突出(信州大学教育学部附属3校の教員アンケートより、n=74)

熊市(特別支援) データという点では、授業で使っているアカウントやID、それにひもづいて 蓄積されたデータを、もっと有効に活用できないか とも感じています。学びが個別最適化の方向に進んでいるからこそ、子どもたちのデータも大切に蓄積し、活用できるといいなと思いますね。

市岡(特別支援) たしかに。特別支援学校では、子どもたちのデータは個人のアカウントにひもづいているわけではなく、学年ごとにフォルダを分けて保管しているだけですね。

赤羽(中学校) 中学校でも、卒業すると学校のアカウントは削除されてしまうので、その前に必要なデータを取り出して、個人のアカウントに移してもらう運用にしています。

熊市(特別支援) そうなんですね、こういう時代だからこそ、子どもたちのデータを、子どもたち自身が使いやすい形で残してあげたいですよね。

赤羽(中学校) あと、私が感じている課題は、 トラブル対応やサポート ですね。本校では情報係の私たちが担っていますが、ただ、情報係とはいってもICTの専門家ではないので、自分たちで調べながら対応するしかありません。その分、時間がかかってしまうんですよね。

齋藤(中学校) そうそう。教員だけでなく、生徒が端末を破損したときの対応も私たちがしています。「パスワードを忘れました」と相談に来る生徒もかなり多いですからね。 ICT支援員の配置など、人的な支援がもっと充実するとありがたい です。

小林(小学校) あと、環境やツールはかなり整ってきていると思うので、今度は 教員側のスキルや知識を高めていく必要がある と常々感じています。MousePro C4についても、せっかくの機能をフルに活用できないのはもったいない。だから教員も学びたいですが、皆さん忙しいし、研修するにしてもなかなか……。

島田(小学校) そうですね、そこが難しいところですね。例えば、外部の専門家に私たちの授業を見てもらって、「この使い方なら、もっとこうできますよ」とアドバイスしてもらうだけでも、かなり違うと思います。

小林(小学校) 新しい機能や生成AIをうまく活用すれば、業務を大幅に効率化できるはずです。もっといろいろなことを知って、使いこなしたいと思っている教員は多いと思うんですよね。

齋藤(中学校) 授業でも校務でもPCで書類をつくる機会が多いので、Office系のツールを使いこなせる環境は当然必要なのですが、そういった場面で生成AIをもっと活用できるようになるといいと思っています。たとえば、いまは自分で調べたり誰かに聞いたりしなくてもAIがExcelの数式や関数を教えてくれるんですよね。教員が全員PCに強いわけではありませんから、 AIを用いたOffice系ツールの便利な使い方 がもっと広まるといいと思います。

人的サポートの充実に期待が寄せられている(※信州大学教育学部附属3校の教員アンケート中間集計より、n=74)

子どもたちの未来を見据えて、先生たちがやってみたいこと

ー今後はさらにAI活用が浸透し、先生方の働き方も変わっていくことと思います。先生方のやってみたいことをお聞かせください。

左より、小林勝俊先生、赤羽洸介先生、島田祐次先生、熊市真也先生、齋藤有人先生、市岡祥一先生

熊市(特別支援) 私は成績評価の効率化に挑戦したいですね。観点別評価をする際に、設問ごとに3観点を紐づけておいて、授業の評価とマージすることで簡単に評価を点数化できるのではないかと。観点別評価の曖昧さを極力減らしながら、採点業務の効率化にもつなげられるのではないかと考えています。

赤羽(中学校) 同じようなことを考えていました。中学校は教科ごとに成績を決めるのですが、主観がまったく入らないというのは難しくて。公正で客観的な評価ができればと思っているので、その一つの助けとしてAIの力を借りられたらいいですね。

市岡(特別支援) 特別支援学校の教員としては、ICTを活用して子どもたちの特性に合わせた教材づくりを進めたいと考えています。たとえば、見えやすい色や認識しやすい表現方法を、一人ひとりに合わせてアレンジできるツール。生成AIを使って実現していきたいですね。

齋藤(中学校) 子どもたちに向けてという意味では、私はデジタル教科書の活用を進めたいと思っています。いま当校では教員用のみ導入しているのですが、改めて読むと非常によく練られていて、さらに動画を含むコンテンツがとても充実しているんです。それらのコンテンツを生徒に共有できるようになれば、もっと学習を楽しんだり前向きに取り組んだりしてくれるようになると思うので、予算上の制約もあると思うのですが、ぜひ実現していきたいですね。

赤羽(中学校) 私は、カスタムAIの活用に挑戦してみたいですね。CanvaやGeminiのStorybookなどのAIツールもうまく使いこなせたらと思っています。これらのツールは子どもたちが社会に出てから必要になる機会も多いと思いますし、よりクリエイティブな学びを実現できる可能性があると思うんです。そしてこれらのツール活用を促進するために、実践事例を共有する機会をつくれればと考えています。

島田(小学校) いいですね。これからは、ますます生成AIの使い方を教えることも重要になってきたことを感じます。私は、小学生のうちからAIについて学ぶ機会をつくって、正しい使い方や考え方を身につけられるようにしてあげたいと思っています。

小林(小学校) 次期学習指導要領では小学校の情報教育が拡充される方向で議論が進んでいるのをみてもわかるとおり、これからは、学校でICT機器を使うのが当たり前の時代になります。そんな時代において、子どもたちのICT格差をいかに減らすかが大きな課題になると思っています。子どもたちが困らないように、教員の発想も「ICTを使ったほうがいいよね」から「ICTを使わなければいけないよね」に変えていかなければならない。ICT環境や端末だけでなく、私たち教員も変わっていかなければならないと考えています。

学校のデジタル化が進む中、今回の座談会では、日々子どもたちと向き合う先生方だからこその実感や、ICT環境に対する切実な声を聞くことができた。校務PCが新しくなり、生成AIの活用も広がる今、重要なのは単なる効率化ではなく、「何のためにICTを使うのか」という視点だろう。先生たちが実現したい教育や働き方を支えるために、校務PCや校務DXをどのようにより良いものにしていくか。そうした視点からICT環境を整えていくことが、これからますます重要になりそうだ。