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長野工業高校がG TUNEで実現!高校生がワクワクする本格的なAI学習環境

左より)長野県長野工業高等学校 情報工学科 上野 敏 教諭、北村 芳徳 教諭

デジタル人材の育成を強化する高校に、国が環境整備の予算を支援する事業「DXハイスクール」。2024年度は全国で1,000校が対象となり、各校に1,000万円が支給された。この事業のもとで多くの高校がICT環境の充実を進めている。

その中で注目したいのは、AI教育の学習環境を強化した長野県長野工業高等学校だ。同校は、グラフィックボードを備えたマウスコンピューターの「G TUNE DG-I5G6T」と、iiyama液晶ディスプレイ「 XUB2492HSU-B6 」を整備し、本格的なAI実習が行える「AI Lab」と呼ばれる教室を作った。生徒たちもワクワクしていると話す同校の取り組みをレポートする。

AIを活用できる人材を育てたい

長野県長野工業高校(以下、長野工業高校)は、1920年(大正9年)に創立された100年以上の歴史を持つ伝統校。「技術力」「実践力」「人間力」を兼ね備えた人材育成をめざしている。県内外の企業や公共機関で多くの卒業生が活躍するとともに、大学や専門学校に進学し知識や技術力の向上をめざす生徒も多い。

長野工業高校。全日制は機械工学科、電気電子工学科、物質化学科、情報工学科、土木工学科、建築学科の6科。定時制は、基礎工学科と建築科の2科を設置

DXハイスクールで整備された「AI Lab」の教室があるのは、情報工学科の校舎だ。AI Labとして生まれ変わった教室には、G TUNEとモニターがそれぞれ10台と、可動式の机と椅子も並んでいる。生徒たちが黙々と作業をしたり、グループワークをしたりと創造的に学べる空間だ。

DXハイスクールで整備した「AI Lab」の教室。G TUNEがずらりと並ぶ
長野県長野工業高等学校 情報工学科 上野 敏 教諭

同校情報工学科の上野 敏 教諭は、AI Labを整備した経緯について、生徒たちが社会に出たときに必要となる力を考えたと話す。

「今まではプログラミング教育が中心だったのですが、これだけAIが社会に浸透し、技術も急速に進展している今、生徒たちにはAIを使いこなせるようになってほしいと強く感じるようになりました。ちょうどそのタイミングにDXハイスクールの話があったので、これはもうAIの学習環境に集中投資できる機会だと考え、応募しました」と語る。

実は、長野工業高校では、これまでもPC教室で無料のAIツールやWebベースの教材を使って、AIの学習に取り組んできた。しかし、それらは手軽にAIを体験できるメリットはあったものの、本格的にAIを学ぶには十分な環境ではなかったという。

長野県長野工業高等学校 情報工学科 北村 芳徳 教諭

同校情報工学科の北村 芳徳 教諭は、「たとえば画像認識を行う際、Google Teachable Machineで表情を認識してアノテーション(データに対して情報を追加していく作業)を行うことは以前のPC環境でも可能でした。しかし、アノテーションの重要性を理解し、そこからさらにAIを深く学びたいとなっても、対応できる環境ではありませんでした。全員が本格的なAIの実習ができるように、それを実現したのが今回のAI Labになります」と語る。

長野工業高校では現在、1学年240名全員が学科に関係なくAIの基礎を学んでおり、AI教育に力を入れている。なかでも情報工学科は、AIの実践的な活用までを学ぶ必要性も高まっており、AI Labのような充実した環境が求められていた。

上野教諭は「AIの学習や実践といっても、AIを開発する人材を育てるのが目的ではありません。もちろん、そうした人材も必要ですが、重要なのはAIをどのように活用し、どのような課題解決をもたらすのか。AIは使いこなすのがむずかしく、その技術を学び、AIを活用できる人材を育てることが重要だと考えています」と語る。

ハードの制約を受けず、高校生がワクワクしながらAIを学べるように

長野工業高校は、本格的なAI学習にマウスコンピューターの「G TUNE DG-I5G6T」を選んだ。AIの実行環境を手元に構築できるゲーミングPCで、高性能なグラフィックボードを搭載。また、iiyamaの23.8型液晶ディスプレイ「 XUB2492HSU-B6 」も合わせて導入した。

さらに、今回の取り組みでは長野のIT人材育成に貢献すべく、地元企業である株式会社電算の協力を得て、ビジネス現場で実際に活用されているAI外観検査システム「Observe AI」も提供された。

長野工業高校がDXハイスクールで整備したG TUNEとモニター

上野教諭はG TUNEを選んだ理由について、処理能力の高さを挙げた。「生徒たちがAIを本格的に学ぶにあたり、ハードのスペックで制約を受けたくないと考えました。その点、G TUNEは高性能なグラフィックボードも搭載され、電算から提供してもらったAI外観検査システムも動かせる。性能としては十分です」と語る。

また、マウスコンピューターが地元企業であり、高校生にもブランド力があることも魅力だという。「最近の生徒たちはYouTubeなどでゲーミングPCの情報に触れているので、マウスコンピューターやG TUNEを知っていたりします。体験入学に来た中学生がガラス越しに教室を見て『G TUNEだ!』と声をあげたこともありました」(上野教諭)。

「G TUNE DG-I5G6T」Windows 11/インテル Core i5 プロセッサー 14400F/メモリ32GB (16GB×2 / デュアルチャネル)/SSD 1TB (NVMe Gen4×4)/GeForce RTX4060Ti ※長野工業高等学校カスタマイズモデル
iiyamaの23.8型液晶ディスプレイ「XUB2492HSU-B6

北村教諭は高性能であることに加え、マウスコンピューターのサポート体制メリットだと話す。「AIを学ぶためにはゲーミングPCのような高性能なマシンが必要ですが、こうした製品はコンシューマー向けが中心で、学校は法人のためコンシューマー向けのPCが購入できない場合があります。マウスコンピューターはゲーミングPCを学校に納入してくれて、サポート体制を整えてくれているので、その点が魅力でした」(北村教諭)。

また、高校生たちがAIを学ぶ環境としてPCの見た目にもこだわったと北村教諭。「最新のことを学ぶからこそ、ワクワクしてもらいたい。G TUNEに魅力を感じ、興味や関心が湧き出して、知的好奇心につながると思っています。PCやキーボードが光っているのも、生徒たちのモチベーションがあがっていいですね。G TUNEはケースがガラス張りですし、キーボードはもっと光ってもいいかなって思っていますよ(笑)」と北村教諭は語った。

生徒たちから「かっこいい」「光っているとテンションがあがる!」と好評だったキーボード

AI画像解析で精度向上にトライ!質の高い実習を叶えるG TUNE

生徒たちは「G TUNE DG-I5G6T」を使ってどのようなAI学習を行っているのだろうか。AI Labが完成してからまだ間もないものの、高校3年生の授業でAI外観検査システム「Observe AI」を使った実習が始まっていた。

Observe AIは、LED照明と産業用高精度カメラで撮影された製品画像をAIが解析して外観検査や寸法計測を高精度に行えるシステム。実習では、コンクリートの画像データをAIに学習させて、ひび割れの有無を識別させるモデルを作成している。生徒たちが挑戦しているのは、AIの精度を向上させること。データセットの作成やモデルの精度の向上などの調整をやってみて、実用できるレベルになるところまで持っていくという。

Observe AIでコンクリートの画像解析。サンプル画像数が少なくてもAIモデルを作成できるのが特徴で、しかもノーコードで扱える。
SDNET2018: A concrete crack image dataset for machine learning applications(©Utah State University, Creative Commons Attribution 4.0 License)を改変して作成https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

上野教諭は「実用に耐えうるAIシステムは100%に近い正確さが求められると思うので、生徒たちには精度向上に取り組んでほしいと考えています。そうすることで、適切なデータの準備と調整の重要性を学び、結果としてAIが単なる技術ではなく、適用の仕方によって大きな価値を生み出すことを経験できます」と語る。

実際に、生徒たちがObserve AIで取り組んでいるコンクリートのひび割れ分析のシステムを見せてもらった。AIが画像データを1枚ずつ解析し、ひび割れ部分に焦点を絞っていく様子がよくわかる。上野教諭は「生徒たちは、AIが誤認識したものを再学習させて精度をあげていく実習をしていますが、こうした作業をストレスなく行うためには、やはりG TUNEのスペックが必要なんですよね」と話す。

AIの画像解析にかかるGPUへの負荷は約20%程度。この処理能力であれば生徒たちが実習中に何度もトライできる

自分たちの将来にAIは必要、今から学べるのが楽しみ

生徒たちはAI Labの教室や「G TUNE DG-I5G6T」についてどのように思っているのだろうか。高校2年生に話を聞いた。

ゲームが趣味でPCのスペックにも興味があるという生徒は「G TUNEはNVIDIAのグラボを積んでいて良いなと思いました。操作性もよくて、見た目もかっこいいです」と話してくれた。ほかにも「そもそも学校にグラボを積んだPCが入ったこと自体、すごいと思ってます。これから楽しめます」といった意見も聞かれた。

生徒たちの関心も高い、高性能グラフィックボードGeForce RTX4060Ti

また、UIデザインの分野に進みたいと話す生徒は「工事をしているときから、この部屋は何に変わるんだろうと思っていて、とてもハイテクな部屋ができあがったのでワクワクしました。前からAIを学びたいと思っていましたが、以前のPCはグラボを積んでおらず、これで(G TUNEで)AIが学べるのはとても楽しみです」と話してくれた。

ほかにも、スマート農業に興味があるという生徒は「こんな部屋をつくってくれて先生ありがとう、と思いました。前は古いPCしかなかったけど、今は時代についていってる感じでやる気も沸いてきます。自分たちの将来はAIが必要になってくるので、こういうPCで学べるのが楽しみです」と笑顔で語ってくれた。

情報工学科の生徒という一面もあるだろうが、「見た目がかっこいい」「グラボを積んでいるPCが入ってきて嬉しい」「AIの学習が楽しみ」といった嬉しいコメントが返ってきた。高校生の将来に大きく関わってくるAIに対して、ワクワク感を持ちポジティブな姿勢でいられるのも、こうした学習環境が与える影響だろう。

高校生はAIへの関心も高い
昇降式デスクも生徒に好評
G TUNEでAdobe Creative Cloudの実習を行ったりもする

進化が速いAI教育、生徒と教師が一緒に学びを進めていきたい

上野教諭は今後の取り組みについて、引き続きObserve AIを活用してAIの実習に力を入れていくと話す。また、学習内容の進化にも対応し、教材化を進めていきたい考えだ。「AIの進化は速く、教師が生徒に教えること自体がむずかしい場面もあります。しかし、教師がついていくのがむずかしいからと言って生徒に与えないのでは、いつまで経っても生徒はAIを学べません。生徒と一緒に教師も学ぶスタンスで進めていきたいです」と上野教諭は語る。

北村教諭は、G TUNEでObserve AIを活用するようになってから、「この機能をこう使えば役立つのではないか」と、生徒の発想力や企画力の向上に期待を寄せている。「教育現場ではAIが仕事を奪う、危険だと捉える向きもあります。しかし、これからの時代はAIを活用する仕事が増え、使いこなすスキルが求められるようになります。重要なのは、AIをどう活用できるか、そして人間が創造的な活動を行う視点です。こうした部分を大切に授業を展開していきたいと考えています」と語った。

DXハイスクールを契機に、これからの高校生に必要な力を見極め、G-TuneをメインPCとしたAI Labを整備した長野工業高校。本格的なAI学習を可能にしたこの空間は、生徒たちにAIを活用する力を育むだけでなく、AIへのワクワク感や楽しむ気持ちをもたらしている。AI時代だからこそ、人間の創造性がより一層求められる今、好奇心と楽しさを原動力に、AIを学び、未来を切り拓いてほしい。

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