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高校生のためのPC選び!先生が考えるポイントと、選び方

本格化する高校BYOD、「やりたいこと」を意識したPC選びが重要

小中学校のGIGAスクール構想に続いて、高校でも1人1台端末の整備・活用が求められている。しかし、まだまだ本格的に取り組んでいない学校も多く、どのような端末を選んでいいかわからないといった声もある。そこで青山学院中等部 講師 安藤昇氏に、高校生のPC選びのポイントやマウスコンピューターのメリットを綴ってもらった。
青山学院中等部 講師 安藤昇氏。前任校では放送部顧問としてNHK杯全国高校放送コンテストで準優勝に導く。マイクロソフト認定教育イノベーター、 BS日テレめざせプログラミングスター講師。教育分野のテクノロジー活用に詳しく、自身のYouTubeチャンネル「GIGAch」は多くの教育関係者が視聴している

小中学校で1人1台端末を使って学ぶのが当たり前になった今、高校でも同様の学習環境が求められています。

特に高校においては、2022年度から学習指導要領が改定され、「情報I」が必履修科目になるほか、探究学習が重視されるなど学習内容も変わってきます。

こうした学習にICTは欠かせないため、高校でもPCを導入する学校が増えていますが、一方でまだまだ本格実施に至っていない学校も多く、「どのような端末を選べばいいのかわからない」といった声もあります。そこで、これからの高校教育を見据えて、どのような端末がふさわしいのか考えていきましょう。


授業だけでなく、PCでやりたいことが出てくる高校生

「情報」の入試サンプル問題も公開されている

まず、高校でのPC活用は小中学校と比べて何が違うのかを押さえておきましょう。

簡単にいうと、高校では生徒が扱う情報量が圧倒的に増え、アウトプットする内容も高度になります。たとえば、小中学校では調べた内容をプレゼンテーションにまとめて発表するだけだったのが、高校では自分の興味あるテーマを深堀りして、論文やレポートを書くといった探究学習に取り組みます。

ネットによる情報収集、アンケートフォームを用いた調査、オンライン会議ツールを用いた専門家へのインタビューなど、さまざまな情報に触れながら、さらには、それらの内容をまとめてグラフや表にしたり、レポートや論文、ポスターでアウトプットしたりもします。

また2022年度から高校では「情報I」が共通必履修科目に設けられ、全ての高校生がプログラミングを学ぶようになります。小学校では、プログラミング的思考を養うことを目的に、中学では「技術・家庭科」の中で学んできたプログラミングですが、高校ではPythonなど本格的にプログラミングを学びます。

2025年の大学入学共通テストからプログラミングを含む「情報」が追加されることも決定し、高校生の大学進学にも影響を及ぼすようになりました。

一方で、授業での活用だけでなく、個人のやりたいことが出てくるのも高校生の特徴です。「学園祭で見せる動画をかっこよくしたい」「プログラミングでもう少し高度なものを作りたい」など、クリエイティブな作業に興味を持つ高校生は多くいます。実際に学園祭、体育祭の前など高スペックなPCや安定した有線LANを求めて、コンピューター室が満員になるという現象が起こります。

このように、先生の目が届く範囲で使っていた小中学校とは異なり、授業で使う範囲も広がるほか、個人のやりたいことを実現する手段としてPCを使うようになるのが高校生です。こうした点を踏まえてPCを選ぶことが重要です。


高校生が使うPCを選ぶポイント

高校生はどのような機種を選ぶのが良いでしょうか。ポイントを見ていきましょう。

【高校生のPC、選ぶポイント】

・OSはWindowsがオススメ
・CPUはCore i5を基準に
・GPUはCPU内蔵タイプでいいが、重い作業をしたいならディスクリートGPUが欲しい
・メモリは最低8GB、ストレージはできれば256GB以上
・画面サイズは14インチぐらい
・重さは1.5kg以下がオススメ
・Wi-Fiは混みやすいので、有線LANがあるとなおいい

まず、OSはWindowsを選択するのがお勧めです。社会で広く利用されているほか、大学でもWindowsを指定しているケースが多いので、高校生のうちから慣れておくといいでしょう。

CPUは学校に持っていくノートPCとしてはCore i5ぐらいがいいと思います。Core i3だとやや非力ですし、用途によってはCore i7までは要らないと思います。ただし、CPUは世代が新しくなると性能が大きく違うので、できればCore i5の第10世代(Comet Lake)以降を選びましょう。

GPUは、それほど重いグラフィック関連の処理をしないなら、CPU内蔵グラフィックで十分です。一方、動画編集や3Dモデリングなどの重い作業をする場合は、GeForce GTXやRTXなどのディスクリートGPUを搭載したものが必要になってきます。

メモリは、できれば8GB以上欲しいところです。ストレージは、3年間使うには256GB以上あったほうがいいでしょう。

ノートPCの画面サイズは、動画と教材を並べて学習することを考慮し、あまり小さいものはお勧めしません。一方で大きすぎるのも通学に困るので、14インチぐらいのサイズがいいでしょう。重さも1.5kgぐらいまでのものがよいと思います。

画面といえば、外部ディスプレイもあると便利です。ノートPCの1画面だとやはり狭いので、家に帰ったら外部ディスプレイにつないで使う方が学習効率も上がります。ほかにも、レポートや論文を紙で提出することも踏まえ、プリンターが使いやすいことも1つのポイントになります。

もう1つ、学校で使うことを考えると、ノートPCに有線LANポートがあると便利です。学校では多くの人数が無線LANを使うので、しばしば混雑します。そこで、大きなデータをダウンロードするときにコンピューター室に行って有線LANを使う、ということも私のまわりでは見受けられます。

プログラミングの授業内容は学校によってまちまちなので、それによってPCでのプログラミング学習に必要になる条件も変わってきます。たとえばPythonを使う学校は、ブラウザー上でPythonを学べるツールなどが利用されるでしょうし、比較的多いVBAを使う学校はPCとしてもMicrosoft Officeが快適に動くものを基準にすることになります。


タイプ別におすすめの4機種

実は、私はマウスコンピューターのPCの愛用者で、今は5台(学校での授業用、持ち運び用、動画編集用×2台、マイクラサーバー用)使っています。長年愛用しているのですが、個人的なお気に入りポイントは、国内メーカーでサポートが充実していることや、専門スタッフがいる直営店があること、スペックの割に安いこと、デザインや見た目が「正統派」という感じがすることなどです。実際に直営店の秋葉原ダイレクトショップにはよく行っています。

そんな私がマウスコンピューターのノートPCから、高校生が学校でも家でも快適に使いこなせるPCを、タイプ別に4機種選んでみました。


3年間対応できる標準スペック:mouse X4-i5

mouse X4-i5

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これからはWi-Fi 6対応が標準
有線LANポートがあると便利

mouse X4-i5は、3年間どんな学習でも対応できる、標準的なスペックのノートPCだといえます。

CPUは第10世代Core i5で、メモリが8GBから。現在の授業を受ける分には不足しませんが、これよりスペックが低いと、これからの授業では使いづらいと思います。

たとえば、最近ではオンライン授業も進化してきて、生徒たちがMicrosoft TeamsやGoogle Classroom上で教材を確認しながら、プログラミングツールを使うという具合に、さまざまなアプリケーションを使う学習も増えています。こうした活動をスムーズに行なうためには、このぐらいのスペックが必要です。

また、Wi-Fi 6に標準で対応しているのもいい点です。現状、多くの学校ではWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)が混雑するために、一斉に動画を視聴するような学習を控えていますが、Wi-Fi 6になると、授業中に一人ひとりに合った動画を視聴するような個別学習も可能になります。

ネットワークの混雑はインフラの太さよりも無線LANの仕様の問題が大きいので、Wi-Fi 6に対応していることでだいぶ防げると思います。ただし、アクセスポイントのほうもWi-Fi 6に対応している必要があるので、そこは学校側に期待したいところです。

あと、薄くて軽いのもいいですね。重量は1.13kgほどなので、持ち運びもしやすいかと思います。

価格は10万円前後になりますが、これについては「ここまで高いスペック、価格のものは要らないのでは?」と感じられるかもしれません。しかし、前述したように、これからの授業ではこのぐらいのスペックが標準だと考えていますし、マウスコンピューターのPCは同クラス製品の中でもコストパフォーマンスが優れています。これからの学習を見据えて、高校生でも最低限これくらいのスペックのPCが良いと思います。


動画配信や3Dモデリングを視野に入れて:DAIV 4N

DAIV 4N

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見た目もスタイリッシュ
「高校生にはグレーが人気がある」と安藤氏

DAIV 4Nは、mouse X4-i5より高スペックなPCです。

私もこの機種を使っていて、授業のほか、YouTubeの動画編集にも使っています。もう、本当に万能ですね。しかもバッテリーが長く持ちます。

CPUは第11世代Core i7を搭載し、メモリが16GBから。グラフィックスでGeForce GTX 1650 Tiを搭載しているのもポイント。Wi-Fi 6にも対応しています。

今の高校生は、学習結果を動画にして発表することもありますし、YouTubeやTikTokで動画を配信したりと、動画を編集する機会が増えています。それを考えると、これぐらいのPCに「Adobe Premiere Pro」のような本格的なツールを入れて動画編集に挑戦してほしいですね。

ちなみに、「動画作りはスマホやタブレットでも十分できる」と言う方もいると思いますが、スマホやタブレットのアプリで作る動画は、見た目にいいものができても、同じような動画しか作れません。つまり、付加価値のある動画を作るためには、やはりPCが必要です。高校生には誰かが作ったテンプレートを使うのではなく、PCならではのクリエイティブツールに触れることで、「自分もいろいろな工夫ができるんだ」という発想を持って欲しいのです。

ただし価格は15万円ほどします。それなりに値段が上がりますが、高校生のうちに買っておけば、大学生になっても使えると思います。また、これからの高校生は、どんな仕事に就いても、ある程度の動画編集やプログラミングのスキルが求められると思いますので、今から本格的なスキルを身に着けられるスペックのPCを買っておくのも良いのではないでしょうか。


耐久性重視:MousePro-NB420H

MousePro-NB420H

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破損に強いMIL規格
品のある光沢を放つブラック

MousePro-NB420Hは、衝撃や振動、温度変化など過酷な信頼性テストをクリアしたMIL規格(MIL-STD-810G)準拠の耐久性の高いノートPCです。

CPUは第11世代Core i5で、メモリは8GBから。マウスコンピューターはメモリなどのカスタマイズも可能なので、メモリを増設すれば、単体GPU並みの高性能GPUであるインテル Iris Xe グラフィックスを搭載することもできます。DAIV 4Nほどではありませんが、それなりに良いスペックです。Wi-Fi 6にも対応しています。

この機種が向いている高校生は、破損が心配な生徒。たとえば自転車で長距離通学している場合など、重たいかばんの中に入っているPCを衝撃から守ってくれます。

また屋外スポーツの部活動で、記録やデータ活用などPCを利用する際もお勧めです。MIL規格なので丈夫ですし、粉塵や夏の暑さにも強いでしょう。今は、部活動でもデータを駆使したり、動作を撮影して分析したりすることが多くあります。外でもPCを使いたい高校生には、耐久性の高いこのPCがおすすめです。

※耐久性の高さについては、「製品品質を評価したもので、無破損、無故障を保証するものではありません」(同社)とされている


2万円強で買える入門機:mouse E10

mouse E10

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キーボードを外してタブレット端末としても使用できる
ペンは後ろに収納できる

mouse E10は約2万円で買える入門機です。

正直、スペックは高くありませんので、アプリケーションをいろいろ立ち上げて使うのには適していません。ただし、最近では高校のプログラミング教材でもブラウザー上で使えるツールが増えていますし、ブラウザー上で完結する作業や、ブラウザーを使った調べものなど、「ブラウザーだけで利用する」と割り切って使うなら、E10が入門機として使えるでしょう。

また個人的には、将来のエンジニアを育てるには、「このようなPCそのもの」が教材になりうると考えています。限られたスペックのPCを快適に使うには、何を用意し、どのように設定したらいいのかなど、自分で考えて改善していくことも良い学習機会です。

それは設定のやり方だったり、ソフトウェアの選び方だったり、組み合わせるハードウェアだったりするかもしれません。また、自作のソフトを開発したり、使い方そのものの工夫かもしれません。そうした手段を自分で探して試すことで、問題解決力を伸ばすことも大切だと思っています。


国内サポートも充実

最後に、私が実ユーザーとしてマウスコンピューターのいいところをもう一つ挙げると、サポートが非常に充実していることがあります。サポートとしては「24時間365日で電話やLINEでのサポート、72時間以内での修理目標」を掲げているのだそうで、私も、故障したPCを送ってすぐに対応してもらった経験があります。また、マウスコンピューターのPCは国内生産で、サポートや修理も国内で対応してくれるので、そういったところも魅力ですし、PCを購入する上での大切なポイントだと思います。