【連載】EducAItion Times
身近な発見を集めて、整理して、発信! Claude×Notionで作る「AIキノコ図鑑」
2026年8月21日 06:30
子供の「好き」や「気になる」は、最高の学びの入り口です。身近な生き物を観察し、写真に残し、特徴を調べて整理する。そんな学びに生成AIを組み合わせると、探究学習としても広がります。
今回は、散歩中に見つけたキノコを題材に、ClaudeとNotionを活用して、自分だけのデジタル図鑑を作成。情報を集め、確かめ、整理し、Webサイトとして発信するまでのプロセスを紹介します。
撮りためたキノコの写真、AIで図鑑にできる?
今年の梅雨は、本当に長く、朝夕の犬の散歩も「また雨か……」と憂鬱でした。そんなある日、公園の木の根元に大きなキノコを発見。「東京にもこんなキノコが生えているんだ!」と驚き、何気なくスマートフォンで撮影しました。
それからキノコを見つけるたびに写真を撮るようになり、県外へ出かけた際に撮影したものも含めて、気づけばスマートフォンにはキノコの写真が何枚もたまっていました。
「これは前にも撮った種類かな?」
「名前は何だろう?」
「これって食べたりしたらどうなるの……?(ドキドキ!)」
その場で調べることはあっても、多くは調べて終わり。そこで思いついたのが、「 AIを使えば自分だけのキノコ図鑑を作れるのではないだろうか? 」というアイデアでした。
写真を整理して、キノコの特徴や種類を調べ、その情報を蓄積していく。さらにWebサイトとして公開できれば、日々のキノコの記録が図鑑になっていきます。そこで今回は、生成AI「 Claude 」とAIワークスペース「 Notion 」を組み合わせて、「観察」「整理」「公開」までを一気に行える仕組みを作ってみました。
Claude「Cowork」で写真を整理する
まずは、撮りためたキノコの写真をClaudeで整理します。今回使ったのは、Claudeの「 Cowork 」です。
Coworkは、チャット形式で質問に答えるだけでなく、情報収集や資料作成、データ整理など、複数の作業をAIが人と協力しながら、自律的に進めてくれる機能です。今回は、キノコの写真を読み込み、種類や特徴などを整理してNotionに登録し、Webサイトとして公開するところまでを一連の作業として設定しました。
Notionは、メモや文書、画像などの情報をまとめて管理できるクラウドサービスで、表形式のデータベースを作ることもできます。今回は、キノコの写真や名前、特徴、撮影日などを蓄積する“図鑑のデータ置き場”として利用します。
まずは、散歩中に撮影したキノコの写真を、デスクトップ上に作成したフォルダへまとめて保存。続いて、Claudeにアクセスし、「新しいチャット」から「Cowork」を選択します。
そこに、以下のような内容で指示を入れました。
フォルダ内の差分画像を取り込み、キノコの種類を同定・Notionにデータベースとして登録、webサイト「東京キノコ図鑑」を作成。同時に英語版も作成。あとは毎週日曜9:00にフォルダチェック、差分があれば更新してアップして。新しい画像が一番上に来るように。
指示を送ると、Claudeが内容をもとに必要な作業を組み立てていきます。途中で進め方や設定について確認を求められるので選択していきます。
こうして作業の流れを設定しておけば、その後は新しい写真をフォルダに追加することで、同じ流れで整理・更新できるようになります。Coworkでは、チャットでやり取りした内容がタスクとしてまとめられ、あとから内容を編集したり、実行する作業を選んだりすることも可能です。
Notionでキノコの情報をデータベース化
Claudeで整理したキノコの情報は、Notionにデータベースとして蓄積していきます。
Notionでは、メモや文書、画像を保存するだけでなく、それぞれの情報に日付やタグなどの項目を設定し、データベースとして管理できます。あとから検索・並べ替え・絞り込みを簡単に行うことができ、用途に応じて一覧やカレンダー、ボード形式など自由に表示を切り替えられます。
Notionでは、これだけでも公開可能ですが、今回は、Notionを情報の「蓄積・管理する場所」、Webサイトは情報を「見せる場所」という具合に役割を分けることにしました。こうすることで、キノコ図鑑の見え方を工夫ができるからです。
とはいえ、複雑なデザインを指示する必要はありません。こちらから指示した点は、「レア度を星で表して欲しい」「明らかに同じ場所で撮影した同じ個体は1枚のカードにまとめてほしい」「英語でも切り替えて見れるように」というものですが、見やすくまとめてくれました。そして 完成したWebサイト が、以下です。
ここで注意したいのが、撮影場所の扱い です。写真に位置情報(GPS)が含まれていると、座標から撮影場所が細かく特定できてしまう可能性があります。特に自宅近くで撮影した写真を扱う際は、位置情報の公開には十分注意しましょう。心配な場合は、AIへの指示に「撮影場所は都道府県のみ掲載してください」「市区町村までにしてください」といった一文を加えることで、公開する位置情報の粒度をコントロールできます。
人とAIの役割分担で「育つ研究」の仕組みをつくる
写真を整理し、撮影日や場所をまとめ、特徴を書き出し、参考資料を確認して分類する……。こうした地道な作業は、観察や探究には欠かせませんが、一つひとつ行うには時間もかかります。
しかし、今回のようにClaudeのCoworkを使って、一度この仕組みを作ってしまえば、あとは新しいキノコの写真を撮ってフォルダに保存するだけ。Coworkで週1回フォルダ内をチェックしてくれて、種類の候補や特徴、食毒に関する情報などを整理してもらい、その内容をNotionのデータベースに蓄積していきます。
もちろん、AIの情報が正しいとは限らないので、自分で内容を確認しながら、「これは本当にそうだろうか」と追加で調べたり、現地で撮った写真を見返したりして情報を修正していきます。
今回の図鑑づくりにおける、人とAIの役割を整理すると次のようになります。
人が「見つける」
↓
AIが「整理する」
↓
人が「確認・修正する」
↓
AIが「公開する」
また、この仕組みは、キノコだけの話ではありません。例えば、昆虫を見つけて写真を撮る、好きな電車を記録する、花の開花時期をまとめる、河原で拾った石を分類する、雲の形を観察する、マンホールを集める、マインクラフトで作った建築を記録するなど、どんな「好き」にも応用できます。
基本の流れも、とてもシンプルです。写真を撮り、AIで情報を整理して要点をまとめ、Notionなどに蓄積。それをWeb上で図鑑として公開するだけです。
こうして記録を積み重ねていけば、自分だけのデジタル図鑑が少しずつ育っていきます。夏休みの自由研究も、「提出して終わり」ではなく、その後も更新できる”育つ研究”になります。毎年、新しい発見を追加していけば、自分だけの知識のアーカイブが完成していくでしょう。
AIの画像認識に課題はあれど、学びの可能性は広がる
今回、キノコ図鑑を作ってみて改めて感じたのが、AIによる画像認識にはまだ限界があるということです。キノコは見た目がよく似た種類が非常に多く、写真だけでは判別できないケースも珍しくありません。なかには、顕微鏡で胞子を確認しなければ同定できない種類や、そもそも食毒が判明していないキノコも数多く存在します。
AIは、写真から種類の候補を挙げたり、特徴を整理したりすることは得意ですが、「絶対にこの種類です」と断言できるわけではなく、あくまで参考情報です。特にキノコは、AIが「食べられる可能性があります」と示したとしても、当然ながらそれを理由に採取して食べることは絶対に避けるべきです。
一方で、将来への期待もあります。写真や生育環境、特徴などのデータが世界中で蓄積されていけば、AIによる判別精度はさらに高まっていくでしょう。研究者や市民が集めた知識とAIが組み合わされることで、自然観察や学びの可能性は、これからますます広がっていくはずです。あなたは、AIが「食べられます」と判定したキノコを食べてみたいですか?
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