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Canva教育版は無償提供を継続、「今後も値上げする予定はない」
2024年10月18日 12:03
2024年10月2日から4日、インテックス大阪で「EDIX(教育総合展)関西2024」が開催された。会場の中で一際目を引いたのは、今回がEDIX初出展となったCanva Japan 株式会社だ。教育機関で急速に利用が広がっている「Canva」は、先生の間でコミュニティもできている。ブースでは同社が認定する教育アンバサダーの「Canvassador(キャンバサダー)」による講演や事例紹介などトークセッションが行われた。
「Canva for Education」も値上げの対象なのか?
Canvaは「プロ品質のデザインを誰でも作成、共有、印刷できる」ことを謳うオーストラリア発祥のクリエイティブツール。Webブラウザ上で動作するため教育機関で扱いやすく、多くの先生が利用している。
そんなCanvaであるが、EDIX関西が開催される少し前に、報道やSNS等で「一部ユーザーの利用料金を大幅に値上げする」という情報が出回った。現在、教育機関向けに提供されている「Canva for Education」は無償であるが、値上げの対象となるのか、多くの教育関係者が気にしているだろう。
そこで、EDIX関西のブース出展に合わせてオーストラリアから来日していたCanva Japan プロダクトマネージャーの佐々木 絵梨氏を直撃し、値上げについて質問した。佐々木氏によると「教育分野は創業者のメラニーが特に強い思い入れでサービスの無償提供を行なっている。今後も値上げする予定はない」とのことだった。
先生が個人ユーザーとしてCanvaを利用している場合は注意が必要であるが、学校に導入されている「Canva for Education」や、自治体が学校や地区などに向けて大規模に利用できる「Canva for Districts」は無償提供が続くということ。子供たちに大きな影響を与えず、安心して使い続けられるだろう。
初出展はゲストを招いたブースセミナー中心に
ブースでは、ゲストを招いたセミナーが連日開催された。EdTech(エドテック)の領域を専門とするデジタルハリウッド大学 教授の佐藤昌弘氏とCanva Japan シニアマネージャー 坂本良晶氏のセッションでは、教育分野において新しいサービスを普及させる意義や課題について語られた。
坂本氏は「すべての子供たちに等しく学びの機会を提供するというのは、Canva創業者メラニーの願いである」と述べ、AI技術などを組み込んで進化し続けるCanvaを日本国内の子供たちが無償で使えること、教育機関で幅広くこうした学習機会が担保されることに意義があると語った。佐藤氏も「日本の子供たちが様々なテクノロジーに触れ、自分たちが良いものを選べることが重要である」と述べた。
一方で、Canvaでも一部使われている生成AIの技術について佐藤氏は「正直、わたしでもついていけないところがある」としたうえで、「テクノロジーの進化はここにいる誰にも止められない」という。急速に発展する生成AIについては、教育分野でも様々な議論が活発になりつつあり、個人情報の取り扱いはもちろん、著作権や倫理面など課題や懸念点も指摘されている。
これについて佐藤氏は、アメリカでは「COPPA(Children's Online Privacy Protection Act)」と呼ばれる、子供のオンライン個人情報を保護者の管理下で安全に管理することを目的に制定した法律があることを紹介。これによりSNS等は原則13歳以上から取得できるようになっているが、実はその前段階からデジタルテクノロジーを正しく活用する啓蒙や指導が盛んに行われているという。
「日本でもこうした教育機会を導入するよう国に働きかけており、子供たちに必要なテクノロジーに触れる機会と必要な指導を行い、子供たち自身が自由と責任を認識して、自ら使う、使わないことを選べるようにすることが大切だ」と佐藤氏は語った。