トピック
メタバースの交流がリアルに発展、「しずおかバーチャルスクール」がつなぐ外の世界
自治体のメタバース不登校支援 現場レポート<静岡県編>
- 提供:
- レノボ・ジャパン合同会社
2026年5月8日 06:30
不登校の児童生徒がいかにして社会とのつながりを築くのか。この難しい課題に対し、静岡県はメタバースを活用した新たな支援に乗り出しています。目指すのは、子供たちの中継地点となる「 しずおかバーチャルスクール 」。社会科見学やリアルな交流へと可能性を広げ、子供たちの心に変化をもたらす運用の裏側を聞きました。
人口約350万人。県内35の自治体があり、約26万人の児童生徒が学んでいます。不登校支援については、ポータルサイトによる情報発信を強化し、学校内にサポートルームを設置するほか、フリースクールと連携するなど対策を進めています。
※記事の内容や肩書きは、2026年3月時点のものです
オンライン支援員の存在が鍵 学校らしさを感じさせない雰囲気も魅力
静岡県教育委員会が運営する「しずおかバーチャルスクール」は、県内全35自治体・約800校の不登校児童生徒を対象に、メタバース空間で居場所と学びの場を提供する取り組みです。「交流・学習・体験」を軸にメタバース空間内でつながり、居場所の選択肢を広げることを目指しています。
同教育委員会の増田和生氏によると、静岡県の不登校児童生徒数はコロナ禍以降増加し、2023年には1万人を突破。「不登校といっても状況は一様ではなく、特に家から出られない子供たちに対して、公教育としてどのようにアプローチをすべきかを課題に抱えていました」と語っています。
その解決策の一つとして、レノボ メタバース スクール(以下、LMS)を採用。増田氏は、「 オンライン支援員によるサポート体制 が整っていたことに加えて、他自治体での導入実績があったこともポイントでした。また、LMSの空間はやわらかい雰囲気で学校らしさを感じさせず、 不登校の子供たちが安心して過ごせる だろうと好印象でした」といいます。
こうした評価を背景に、2025年1月に試行運用を開始し、4月から本格運用へと移行。開始申込時は、定員150人を超える応募があったといいます。
「すごいね」「上手だね」 自己表現できる場で交流を促す
しずおかバーチャルスクールは現在、1フロアにつき定員25名の空間を2つ開設しています(※)。開設時間は平日の10時~12時と13時~15時の計4時間。1日のタイムスケジュールは設定されているものの、30分だけ顔を出す子もいれば、朝から終了時刻まで参加する子もいるなど過ごし方は様々です。
※2026年4月より3フロアに増設されています。
各フロアには、活動の進行や遊び場づくりを担うオンライン支援員に加え、運営する教育委員会の職員も毎回常駐。静岡県教育委員会の冨田宏美氏は、「オンライン支援員に任せきりにするのではなく、教育委員会も子供たちの活動を調整したり、チャットのトラブルに対応したり、1対1での相談に乗ったりしています」と語ります。
空間の一角に設けられた「わくわくルーム」は、子供たちの描いた作品が掲示されている大切な場所です。静岡県教育委員会の長澤 誠氏は、「自作の絵を飾ったり、自分で作った料理の写真や、珍しいラッピング電車の動画を撮ってきて共有したり、作曲した曲を流したりしてくれる子もいます。 お互いに『すごいね』『上手だね』『私もやりたい』と感想を言い合って交流 しています」と語ります。自分の見てほしいものをありのままに発表できる場をつくることで、子供たちの自己肯定感を高めています。
「行ってみたい」「会いたい」気持ちに リアルな交流をつくるステップ
静岡県の取り組みにおいて特に象徴的なエピソードの一つが、株式会社アスペン、株式会社アンカー、株式会社O.N.O、株式会社フロム東海にて特別に実施された、ハンバーガーレストランでの職業体験です。夏休みに実施された本企画では、県内店舗を会場に、子供たちがハンバーガー作りやポテトの袋詰めを体験しました。
普段は外出が難しい子供たちが、この日一歩を踏み出せたのは、 メタバース空間で事前に準備 があったからです。まずスタッフが店舗へ赴き、体験の様子をZoom中継。画面越しにその光景を見守っていた子供たちから、「 自分もやってみたい 」という自発的な声が上がったことから、その希望を叶える形で実際の職業体験へとつなげたのです。
長澤氏は「純粋にハンバーガーレストランの体験を楽しみたい子もいれば、しずおかバーチャルスクールで交流してきた仲間に“会いたい”という想いで参加した子もいたはずです」と説明。当日は作業が忙しく、交流の時間が足りなかったという子供たちの声に応え、12月には静岡県庁で「お楽しみ会」を開催。約30人の子供たちが集まりました。この会と並行して開催した「お話し会」には保護者が参加し、「情報交換や交流ができて有り難かった」と、大人にとっても貴重なつながりを生む場となりました。
さらに、リアルな社会を実感する機会は、イベントだけではありません。オンラインの社会科見学として、沼津市の「沼川新放水路」の工事現場をスタッフが取材。その映像を皆で視聴するなど、メタバースにいながら「今の社会」を肌で感じられる試みを続けています。
一人ひとりに寄り添い、外の世界へとつなぐ学びの場へ
冨田氏によると、メタバースでの交流を通じて、子供たちに少しずつ変化が芽生えているといいます。「コミュニケーションの取り方が変わったり、周囲への気配りができるようになったりと、一人ひとりの成長が見られるようになりました。もちろん、不登校の解消には時間を要しますし、メタバースという環境自体に馴染めない子もいるので課題はありますが、一人ひとりに寄り添っていきたいです」と語っています。
長澤氏は、居心地の良さを追求しつつも、「最終的には、学校や実社会へと羽ばたいてほしい。今後も体験イベントなどを通じて外の世界へ目を向けるきっかけを作りたいです」と思いを述べました。
しずおかバーチャルスクールは、2026年度にフロアの増設を予定しています。メタバースの居場所は、子供たちの次の一歩を支えています。
■静岡県編:メタバースの交流がリアルに発展、「しずおかバーチャルスクール」がつなぐ外の世界
■富山市編:「対話」から始まるメタバース運用、信頼と温もりで支える富山市の不登校支援
今回ご紹介した静岡県教育委員会で採用されたレノボメタバーススクール。詳細・お問合せは下記よりご確認ください。
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