【連載】EducAItion Times

子供の「伝えたい」を引き出す、Geminiの4コマ漫画活用術

EducAItion Timesは、「大人のきぼう こどもの未来」をテーマに、生成AIの活用情報をお届けします。本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」のメンバー8名が運営するもので、子供たちの好奇心を刺激する、新たな学びの提供をめざしています。

2学期が始まると教室は「伝えたいこと」でいっぱいになります。小学生は「聞いて聞いて!」と駆け寄ってきますし、思春期の生徒たちも、口にはしなくても、夏の思い出や新学期への思いを胸に抱えています。

私は教員として、小学生から高校生まで幅広い年齢の子供たちを見てきて、あることに気づきました。 子供は年齢を問わず、「作品」を間にはさむとよく話す のです。目の前に絵があれば、「これ何?」「どうなったの?」と質問が自然にわいてきます。

4コマを間にはさむと対話が深まる

そこで今回は、 画像生成AIで4コマ漫画 を作り、それを囲んで伝え合う活動をお伝えします。子供が絵を描く必要はありません。「どんな4コマにするか」を言葉で考えてAIに指示するだけ。さっそく作り方からご紹介します。

まずは4コマ漫画の基本プロンプトをコピー&ペースト

今回はGoogleの生成AI「Gemini」を使います。プロンプト(AIへの指示文)は、難しく考える必要はありません。基本の型はこれだけです。

以下の内容で、縦1列・上から順に4コマ漫画を作成してください。
主人公:小学生の男の子
内容:家族で動物園に行った。ゾウが水あびをしていた。迫力があってびっくりした。帰り道、楽しかったなあと思った。

使い方も簡単で、3ステップです。

【ステップ1】Geminiを開き、入力欄の「画像」を選んで、上の型をコピー&ペーストする
プロンプトの1行目は毎回そのまま使う共通部分です。「縦1列・上から順に」は、コマが横に並んだり順番が入れ替わったりするのを防ぐおまじないです。

Geminiの「画像を作成」にプロンプトを入力した画面

【ステップ2】「主人公」と「内容」の部分を、子供の言葉に置き換える
主人公は「高校生の女の子」「部活帰りの中学生」など、目の前の子供に合わせて変えてください。内容は作文のような整った文章でなくてもかまいません。子供が話した言葉をそのまま並べる程度で十分です。ひとつだけコツを挙げると、 出来事を4つくらいの文で書くこと 。1つの文が1コマになるイメージで、文が3つ以下だとAIが足りない場面を勝手に創作しやすくなります。

【ステップ3】送信ボタンを押して4コマ漫画を生成。追加で修正を加える
できあがった絵を見て、ちょっと違うなと思ったら、「ゾウはもっと大きく」「最後は笑顔で」など言葉を足して指示し直してください。

生成された4コマ漫画の例

一発で思い通りの絵を出すことがゴールではありません。「どう言えば伝わるか」を考えて指示し直す過程そのものが、相手に伝わる言葉を選ぶ練習になっています。

知っておくと便利なコツを2つ紹介します。

① 主人公の設定を一言添える
「小学生の男の子」「眼鏡をかけた女の子」など特徴を一言入れると、4つのコマで同じ人物として描かれやすくなります。それでもコマごとに顔が変わってしまうことはありますが、「まあ、そこはご愛嬌」くらいの気持ちで大丈夫です。

② セリフは、子供の言葉で
できあがった4コマのセリフは、AIが想像で入れたものです(日本語の文字が崩れることもあります)。そこで、「セリフの文字は入れず、空白の吹き出しをつけてください」と一言足して指示しましょう。そのまま使える型はこちらです。

以下の内容で、縦1列・上から順に4コマ漫画を作成してください。
セリフの文字は入れず、空白の吹き出しをつけてください。
主人公:小学生の男の子
内容:家族で動物園に行った。ゾウが水あびをしていた。迫力があってびっくりした。帰り道、楽しかったなあと思った。

基本の型に、2行目が増えただけです。これを、そのままコピー&ペーストすると、今度は吹き出しが空白の4コマ漫画が生成されます。

「空白の吹き出し」で生成した4コマ漫画の例

空っぽの吹き出しつきで印刷すれば、子供が自分の言葉を書き込めて、「書く」活動もちゃんと残せます。それでも文字が入ってしまったら、「吹き出しの中は完全に空白にしてください」と重ねて指示すれば大丈夫です。さらに、セリフまで自分で決めて指示する方法もあります。これはあとで紹介します。

AIの「間違い」こそ、対話のチャンス

ステップ3で生成した4コマ漫画を、もう一度よく見てください。実は、指示していない部分があります。入り口の看板の「中央動物園」、この名前はプロンプトのどこにも書いていません。AIが勝手に考えたものです。セリフも、AIが想像して入れたものです。

ステップ3で生成した4コマ漫画の一場面。「中央動物園」はAIが勝手に加えたもの

生成AIには、こうした「もっともらしい間違い」(ハルシネーション)がつきものです。でも、この活動では、それが欠点になりません。むしろ、いちばんの対話のきっかけになります。

「ほんとに『中央動物園』っていう名前だった?」「このセリフ、ほんとに言った?」と、絵と記憶を照らし合わせるたびに、子供はその時のことを思い出して、自分の言葉で語り直すことになります。間違い探しをしながら指示し直す過程が、そのまま振り返りになるのです。

ステップアップ:場面もセリフも自分で決める「詳しい型」

「もっと指示どおりに作りたい」となったら、コマ割りからセリフまで自分で指定する、詳しい型の出番です。タイトル、主人公に加え、各コマの場面やセリフも子供の言葉に置き換えてください。

以下の内容で、縦1列・上から順に4コマ漫画を作成してください。
タイトル:家族で動物園!
主人公:小学生の男の子
1コマ目:動物園の入り口に家族で着く
セリフ:「やったー!動物園だ!」
2コマ目:ゾウが水あびをしているのを見つける
セリフ:「あ!ゾウが水あびしてる!」
3コマ目:水しぶきの迫力にびっくりする
セリフ:「うわあ、すごい迫力!」
4コマ目:夕方の帰り道を家族で歩く
セリフ:「楽しかったなあ」
詳しい型で生成した4コマ漫画の例。タイトルまで入る

実は、この型を埋めること自体が、今回の活動のポイントです。出来事を4つの場面に分けて、そのとき話した言葉・思った言葉を思い出して書く。これは、作文の設計図づくりそのものです。埋めながら「あのとき、なんて言ったっけ?」と隣の子と聞き合えば、ここでも対話が生まれます。

おまかせ型はAIが場面を考えてくれる入門編、詳しい型は子供が自分で考える本番編。最初はおまかせ型で楽しく、慣れてきたら詳しい型へと段階を踏めば、無理なくステップアップできます。

活用例①:行事の思い出を4コマにして、質問し合う

運動会や校外学習の振り返りに。「場面を4つ選ぶ」という制約が、かえって考えやすさにつながります。基本の型の内容を、「運動会があった。かけっこで転んでしまった。でも、最後まで走った。ゴールでみんなが拍手してくれた」のような4つの文にするだけです。

できあがったらペアで見せ合い、質問タイムを。ポイントは、 感想ではなく質問をさせること。 「どうしてこの場面を選んだの?」と聞き合うと、作った子はもう一度自分の言葉で出来事を語ります。選ぶ4場面は一人ひとり違うので、「ぼくはかけっこ、〇〇さんは応援の場面なんだ」という気づきも生まれます。

活用例②:目標を4コマにして、間の2コマを相談する

目標は、書いた瞬間がいちばん熱く、貼り出された頃には忘れられがちです。そこで「 1コマ目=今の自分、4コマ目=目標を達成した自分、2〜3コマ目=そのためにすること 」の型で指示します。目標の4コマは「今から目標へ進んでいく道のり」なので、 横1列 にして、各コマの上に(今の自分)(そのためにすること)などの 見出し を入れるよう指示すると、ただの漫画にならず、道のりだとひと目で伝わります。

「発表をがんばる」で止まっていた目標が、間の2コマを埋めるために「まず隣の友達に言ってみる」「授業で1日1回手を挙げる」と行動レベルに具体化されます(中学生・高校生なら「部活でレギュラーになる」→「朝練で素振り50本」のイメージ)。間の2コマは、ペアや班で「どうやったら達成できると思う?」と 相談してから指示 させましょう。目標の発表会よりずっと実のある伝え合いになります。

活用例③:週1回の4コマ日記で、互いの1週間を知る

金曜の帰りの会や終礼(ショートホームルーム)で「今週の出来事を4コマにすると?」と続ける使い方です。毎週同じ型のくり返しで、思い出を言葉にして伝えるのがどんどん上手になります。できた4コマは教室に掲示を。作品の前で「これ、何があったの?」と子供同士の立ち話が始まったら、しめたものです。お互いの1週間を知ることは、教室の人間関係の土台づくりにもつながります。

対話を深める、先生のひと工夫

ここまでの3つの活用例に共通するのは、4コマが「質問の的」になることです。聞き手はコマを指さして質問できますし、出来事を4つに絞っているぶん、コマとコマの間には描かれていない「すき間」が必ず残ります。描かれていないから、聞きたくなるのです。見せ合いの時間に、先生がひとこと添えるだけで対話はぐっと深まります。

「描かれていないコマの間に、何があったのか聞いてみよう」
「同じ行事なのに、選んだ場面が違うのはどうしてだろう?」
「作った人に、もっと聞いてみたいことは?」

答えを引き出すのではなく、 質問を引き出す問いかけ がコツです。

使うときの注意点

画像生成をするときは、以下の点に注意しましょう。

  • 実在の友達や先生を描かせないこと。登場人物は本人または架空のキャラクターにしましょう。実在の人物に似せた画像の生成は、肖像権の観点からも避けるべきです。
  • プロンプトに個人情報を入れないこと。子供の名前や住所などをそのまま入力することは、多くの自治体・学校の生成AIガイドラインで禁止・制限されています。この記事の型で主人公を「小学生の男の子」のような匿名の設定にしているのは、そのためでもあります。「固有名詞は入れない」を、子供との約束にしておきましょう。
  • 生成AIが使える条件は、アカウントの種類で変わります。執筆時点で、個人のGoogleアカウントでは、Geminiの利用は13歳以上です(国・地域により異なります)。一方、学校のGoogle Workspace for Educationアカウントでは、管理者が有効にしていれば年齢を問わず利用でき、18歳未満には不適切な回答を防ぐ保護機能が働きます。ただし、生成した画像の編集など一部の機能には年齢による制限があります。条件は更新されることがあるため、最新の情報は公式ヘルプと、自治体・学校の生成AIガイドラインで確認してください。先生が代表して生成し、子供は「指示を考える」役に徹する運用なら、こうした条件に迷うことなく、校種を問わず実践できます。
  • 思い通りの絵にならないこともAIの特性です。「AIの絵は当たり外れがある」と最初に共有しておくと、失敗も笑いに変えられます。

4コマ漫画づくりのゴールは、上手な絵を手に入れることではありません。出来事を4つに整理し、言葉で指示し、できた作品を囲んで質問し合う。作品はあくまで、対話を生むための「話のタネ」です。この仕組みは、家庭でも同じように働きます。「今日の出来事を4コマにしてみようか」と、夕食後のひとときに親子で指示を考えれば、「学校どうだった?」「べつに」で終わりがちな会話の、新しい入り口になります。

まずはご自身の「今週の思い出4コマ」から、気軽に試してみてください。見せ合えば、大人同士でも「これ何の場面?」と会話が始まるはずです。

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IKIGAI lab.

140名のメンバーが所属する生成AIコミュニティ。監修:髙橋和馬・田中悠介。編集:新谷信敬。

黒田 一之

教員。大学院生。Apple Distinguished Educator。生成AIを活用した特別支援学校教員の校務支援について研究中。入賞経験あり。2025年ICT夢コンテストにて、文部科学大臣賞・総務大臣賞受賞。