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小学生から大学院生まで、若きMakerたちの発想と技術が光る! Maker Faire Tokyo 2026レポート

Maker Faire Tokyoでは、小学生から大学院生まで、多くの若いMakerたちが個性豊かな作品を披露した

2026年9月5日~6日、東京・有明GYM-EXで、ものづくりの祭典「 Maker Faire Tokyo 2026 」が開催された。会場には、ロボットや電子工作、デジタル技術を活用したユニークな作品など、Maker(メイカー)たちの多彩な作品が集結した。

なかでも注目したいのが、小学生から大学院生までの若いMakerたちによる展示だ。小学3年生が家族とともに開発した探査ローバーをはじめ、身近なアイデアを形にした電子工作、本格的なロボット、宇宙開発に挑む学生たちの作品まで、その内容は実に幅広い。

本記事では、会場で見つけたYoung Makerたちの作品を通して、自由な発想から生まれるものづくりの面白さと、若い世代の挑戦を紹介する。

親子の共同製作から中高生の電子工作まで。アイデアあふれる電子工作

Young Makerの展示の中でも特に印象的だったのが、小学3年生の女の子と両親の家族3人で活動する「TEAM T.E.A.」だ。同チームが製作した探査ローバーは、2026年3月に開催された「鳥取ローバーチャレンジ2026」のエントリー部門で4位に入賞した。

開発では、娘さんが地上局のブロックプログラミング、お父さんがハードウェアとテキストプログラミング、お母さんが科学分析を担当。それぞれの得意分野を生かし、家族で協力して製作に取り組んだという。また、娘さんは宝石や鉱物にも興味があり、ブースには鉱物の標本なども展示されていた。

小学3年生の娘さんとその両親の3人からなる「TEAM T.E.A.」のブース。鳥取ローバーチャレンジ2026のエントリー部門で4位になったローバー
ブースには鉱物の標本やノートも展示
家族3人で活動する「TEAM T.E.A.」

続いて、中学1年生の「おもしろそう自由研究」のブースでは、今日と明日の天気に合わせてLEDの色が変化するインテリア作品「お天気ランプ」が展示されていた。ESP32を搭載したマイコンボードを使用し、インターネットから取得した天気情報に応じて、LEDが異なる色に光る仕組みだ。

今日や明日の天気に応じた色でLEDが光るインテリア「お天気ランプ」

桐朋中学校高等学校の電子工作同好会「桐朋電子研」は、「黒電話土竜叩き」と「プラレールキャッチャー」を展示した。

「黒電話土竜叩き」は、4台の黒電話のうち、ランダムに鳴る電話を聞き分け、1秒以内に受話器を取るゲームだ。黒電話の制御には自作のリレー回路を使用しており、昔ながらの電話機を活用したユニークな作品となっている。一方、「プラレールキャッチャー」は、プラレールの車両を分解せず、その動力を利用して動かす仕組みが特徴だ。

「黒電話土竜叩き」は、4台の黒電話のうちランダムに鳴る電話を聞き分け、1秒以内に受話器を取るゲーム
「プラレールキャッチャー」は、プラレールの車両を分解せず、その動力を利用して動かしているのが特徴

学生たちの技術が光る、本格的なロボット開発

大学生や大学院生による本格的なロボット開発も見どころの一つだ。農業や生活支援など、さまざまな分野で活躍するロボットが披露された。

大阪工業大学の学生2人によるチーム「トマト娘」は、トマト収穫ロボット「とまこ」を展示した。「とまこ」は、熟したトマトを傷つけずに優しく収穫できる「織りグリッパ」を搭載しているのが特徴。会場では、織りグリッパを動かし、拳を握るような動作を披露するデモが行われた。

トマト収穫ロボット「とまこ」。織りグリッパは回転することで小さくなり、熟したトマトを傷つけずに収穫できる

東京農工大学テックガレージで活動する「KAINA工房」は、独自開発した人型双腕五指ロボットアーム「KAINA」を展示した。アームは7自由度で、機構設計から加工、組み立てまでをすべて自分たちで手がけている。5本の指を備えたハンド部分もオリジナルであり、指1本あたり2自由度、親指は4自由度で、ハンド全体では12自由度を実現。ワイヤー駆動によって、人間の手に近い柔軟な動きを可能にしている。

KAINA工房が独自開発した人型双腕五指ロボットアーム「KAINA」

東京都立大学、筑波大学、東京理科大学などの学生で構成されるチーム「PyLoT Robotics」は、生活支援ロボット「Runa」を展示した。同チームは、家庭環境で人を支援するロボットの技術を競う国際大会「RoboCup@Home」で、世界5位に入賞した実績を持つ。

学生チーム「PyLoT Robotics」が開発した生活支援ロボット「Runa」
ブースには自作のドローンも展示されていた

東京農工大学の学生ロボティクスプロジェクト「LIFTH」は、来場者が指定した色のヨーヨーを釣り上げるロボットアーム「LIFTH Arm」のデモを披露した。また、愛知工業大学の学生団体「AIT鉄人プロジェクト」は、身長134cmのヒューマノイドロボット「鉄人23号」を展示。同プロジェクトは、漫画『鉄人28号』をモデルにしたロボットの開発に長年取り組んでいる。

東京農工大学「LIFTH」のヨーヨー釣りロボットアーム「LIFTH Arm」
愛知工業大学「AIT鉄人プロジェクト」のヒューマノイドロボット「鉄人23号」

ゲームからアートまで、遊び心を形にする学生たちのものづくりが面白い

学生たちの挑戦は、本格的なロボット開発だけにとどまらない。会場には、自由な発想や遊び心を形にしたユニークな作品も数多く並んでいた。

神山まるごと高専3年生による「Co-Bell」は、実用性や利便性だけでなく、人の感情を動かすことを目指した電子工作を展示した。その一つが、猫型のポモドーロタイマー「nekoron」だ。なでることでタイマーをセットでき、時間の経過とともに本体が徐々に傾き、終了時にはコロンと転がる仕組み。時間を知らせるという機能に、思わず愛着が湧くような仕掛けを取り入れている。

猫型の癒やし系ポモドーロタイマー「nekoron」。なでるとタイマーがセットされ、時間の経過とともに徐々に傾き、終了時にはコロンと転がる

筑波大学の情報・プロダクトデザイン領域では、授業や有志チームで制作した多彩な作品を展示した。迫ってくるひらがなを組み合わせて3文字の言葉をつくるゲーム「もじバスター!」や、カードに書かれたお題に合わせて適切な塩加減のおにぎりを握る「手汗塩おにぎりげーむ」など、遊び心あふれる作品が来場者の目を引いていた。

迫ってくるひらがなを組み合わせ、3文字の言葉をつくるゲーム「もじバスター!」
お題に合わせて適切な塩加減のおにぎりを握る「手汗塩おにぎりげーむ」

美術大学の学生たちによるロボットも個性的だ。武蔵野美術大学ロボット部は、骸骨ロボットやナマズロボット、繭ロボットなど、独創的な造形のロボットを展示した。一方、女子美術大学ロボット研究プロジェクトは、ユカイ工学とのコラボレーションによる「近くに置いておきたいパートナーロボット」をテーマに作品を制作。卵の殻を割って生まれてきたようなロボットや、思わずなでたくなるモフモフのロボットなど、親しみやすさを感じさせる作品が並んだ。

武蔵野美術大学ロボット部によるナマズロボットや、多脚ロボットなどの作品
女子美術大学ロボット研究プロジェクトが、ユカイ工学と共同で制作したパートナーロボット

東京農工大学の学生プロジェクト「電脳レストラン」は、架空の食べ物の食感を再現するVRレストラン「Yummyverse」を展示。会場では、ドラゴンの肉の食感を疑似体験できるデモを行った。

架空の食べ物の食感を再現するVRレストラン「Yummyverse」

早稲田大学と豊橋技術科学大学のレゴサークルが合同で参加する「日本学生レゴ部ユニオン」は、レゴブロックで製作した玉運び装置「レゴGBC」を展示した。ギアやカム、リンクなどの機構を組み合わせ、プログラミングを使わずにボールを次々と運ぶ仕組みだ。身近なレゴブロックを使い、機械仕掛けならではの面白さを伝えていた。

日本学生レゴ部ユニオンが展示した、レゴブロック製の玉運び装置「レゴGBC(Great Ball Contraption)」
巨大な観覧車のような機構を使って、ボールを次々と運ぶ仕組み

電気通信大学の有志メンバーによる「動く板Project」は、自律走行ロボット「動く板」を展示した。独自の規格「Power Stack 1.0」を策定し、モータードライバーを自作しているのが特徴だ。会場では、実際に子供たちを乗せて走行するデモも行われた。

子供2人を乗せて走行する自律走行ロボット「動く板」

東京大学本郷キャンパスを拠点に活動する「東大プラレーラーズ」は、マイコンとBluetoothを活用したプラレールの自動運転システムを展示。無線制御によって列車を走らせるデモを披露した。また、東京大学大学院工学系研究科修士2年の山﨑玲美さんは、「折り紙と幾何学の『気づきの装置』」と題した作品を展示。人工衛星のアンテナにも応用される「ミウラ折り」や、ファスナーの開閉によって形が変わる「ひらひらねじねじコーン」など、幾何学の面白さを体験できる作品を紹介した。

「東大プラレーラーズ」が展示した、無線制御によるプラレールの自動運転システム
山﨑玲美さんによる「折り紙と幾何学の『気づきの装置』」。形の変化を通して幾何学の原理を体験できる

ほかにも、東京電機大学の「うつろいの研究室」は、子供の食事に反応する「インタラクティブお子さまランチプレート」を展示した。プレート中央の液晶ディスプレイにはキャラクターが映し出され、食べ物を取ると、それに合わせてアニメーションが変化する仕組みだ。また、ブロック状のソフトキャンディを積み重ね、切るたびに異なる絵柄が現れる金太郎飴を製造できる3Dフードプリンターも展示していた。

食べ物を取るとキャラクターが反応する「インタラクティブお子さまランチプレート」
切るたびに異なる絵柄が現れる金太郎飴を製造できる3Dフードプリンター

旅する工房から電子ペーパーまで、ものづくりの可能性を広げる学生たち

学生たちのものづくりは、自由な発想や広がりも感じさせてくれる。会場では、作る場所や方法に新たな可能性を見いだそうとする学生たちもいた。

慶應義塾大学大学院修士2年の滑川寛さんは、自律型移動工房「旅するものづくり工房」を展示した。軽トラックの荷台に3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機器や工具を搭載し、生活設備も備えることで、旅をしながらものづくりができるというものだ。

滑川さん自身も、この移動工房で各地を旅しながらものづくりに取り組んでおり、その様子をYouTubeで公開している。なお、「旅するものづくり工房」は、今回の「Young Maker Challenge 2026」で最優秀賞を受賞した。

「Young Maker Challenge 2026」で最優秀賞を受賞した、滑川寛さんの「旅するものづくり工房」
工房内には3Dプリンターやレーザーカッターなどを搭載。旅先でも本格的なものづくりができる

慶應義塾大学環境情報学部1年のそうまめさんは、ワイヤレス給電で表示を書き換えられる電子ペーパー名刺を展示し、数量限定で販売していた。開発には生成AIを活用し、試作と改良を重ねて、現在はバージョン5(V5)まで進化しているという。スマートフォンのNFC機能を使って給電とデータ転送を行う仕組みで、表示を書き換えない限り電力は消費しない。

生成AIを活用して開発した電子ペーパー名刺。試作と改良を重ね、バージョン5まで進化している
スマートフォンを近づけ、NFCによるワイヤレス給電とデータ転送で表示を書き換える

長岡技術科学大学の学生チーム「MPF」は、「ちっちゃい工場」と名付けた卓上サイズの電動射出成形機を展示した。ブースには、この装置で製作した成形品や、製作に使用する金型も並び、小型の装置で樹脂製品を作る仕組みを紹介していた。

学生チーム「MPF」が開発した卓上サイズの電動射出成形機「ちっちゃい工場」
「ちっちゃい工場」で製作した成形品と、成形に使用する金型

宇宙を目指すYoung Makerたち、ロケットから探査ローバーまで

学生たちのものづくりは、地上から宇宙へと広がっている。ロケットや人工衛星、惑星探査ローバーなど、宇宙開発を目指す学生チームの展示からは、その挑戦のスケールの大きさが伝わってきた。

筑波大学と大阪工業大学の学生を中心に構成される「TSUKUBA ROVER TEAM」は、2026年3月に鳥取県で開催された「鳥取ローバーチャレンジ2026」で優勝した探査ローバー「TSUKUBA ROVER 1」の改良機を展示した。

「鳥取ローバーチャレンジ2026」で優勝した「TSUKUBA ROVER 1」の改良機。4輪の車体にロボットアームを搭載している

東海大学の「学生ロケットプロジェクト」は、小型ハイブリッドロケットを展示した。また、東京都市大学の「宇宙科学教育コミュニティ」は、教育用マイコンボード「micro」を搭載した超小型人工衛星や、小型ハイブリッドロケット「MUSASHI-01」に関する展示を行った。

東海大学の「学生ロケットプロジェクト」が展示した小型ハイブリッドロケット
東京都市大学の「宇宙科学教育コミュニティ」が展示した、micro搭載の超小型人工衛星

青山学院大学物理科学科坂本研究室は、超小型衛星「MUSUBI」を展示した。「MUSUBI」は、おみくじを引ける「宇宙神社」をコンセプトに設計されたユニークな人工衛星だ。

青山学院大学物理科学科坂本研究室が開発した超小型衛星「MUSUBI」。おみくじを引ける「宇宙神社」をコンセプトに設計された

このほか、神奈川大学の課外活動団体「神奈川大学宇宙エレベータープロジェクト」は、宇宙エレベーターの昇降機となる「クライマー」のデモを披露。また、名古屋大学の公認サークル「名古屋大学宇宙開発チームNAFT」は、開発中の火星探査ローバーを展示した。

神奈川大学宇宙エレベータープロジェクトによる、宇宙エレベーターの昇降機「クライマー」のデモ
名古屋大学宇宙開発チームNAFTが開発を進める火星探査ローバー

MFT2026では、小学生から大学院生まで、幅広い世代のYoung Makerたちが個性豊かな作品を展示しており、柔軟な発想と高い技術に感心することも多かった。こうした作品に触れることは、子供たちがものづくりに興味を持つきっかけにもなるだろう。次回のMFTは、2027年9月25日(土)~26日(日)に、今回と同じ有明GYM-EXで開催される予定だ。ものづくりに興味のある子供たちはもちろん、親子で訪れてみてはいかがだろうか。

石井英男

PC/IT系フリーライター。ノートPCやモバイル機器などのハードウェア系記事が得意。最近は3DプリンターやVR/AR、ドローンなどに関心を持ち、取材・執筆を行っている。子どもを持つ父親として、子どもへのプログラミング教育やSTEM教育にも興味があり、CoderDojo守谷のメンターとして子どもたちにプログラミングを教えている。