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教員の平均勤務11時間、64.6%が「休憩ほぼ取れず」 小学館が2672人に調査

教員向けWebメディア「みんなの教育技術」が、教育関係者2,672人に実施したアンケート結果を発表

株式会社小学館の教員向けWebメディア「みんなの教育技術」は、教員の勤務実態に関するアンケートの2026年度版を実施し、結果を発表した。教員と教育委員会などの関係者を合わえて2,672人からの回答が集まり、そのうち2,560人が現役教員だった。

2025年から2026年にかけての1年間で、勤務時間・休憩・持ち帰り残業・休日勤務といった基本的な指標に大きな改善は見られなかった。一方で、今回新たに、教員たちが「残業時間を減らす」こと以上に「情緒的な疲労を減らしてほしい」と願っているという実態が見えてきた。

・出勤から退勤まで平均約11時間。4人に1人が12時間以上
勤務時間については、79.4%の教員が10時間以上の勤務、約4人に1人(24.3%)が12時間を超えて勤務している状況だった。平均値は約11.05時間となり、2025年調査の平均11.17時間とほぼ横ばいの水準にとどまった。ここから、法定労働時間を上回る勤務が常態化している可能性がうかがえる。

教員の約4人に1人(24.3%)が12時間を超えて勤務

・「休憩時間がほとんど取れない」人は64.6%超
1日に取得できている休憩時間について、「ほとんど取れない」と回答した人は全体の64.6%にのぼった。これに「15分未満」を加えると、この設問に答えた回答者の84.1%の人がまともな休憩を取れていない実態がわかる。

特に、1日8時間以上勤務していると回答した教員(2,610人)に絞ると、労働基準法上60分以上の休憩が必要となる、実際に60分以上取れていた人はわずか6人(0.2%)だった。

64.6%が「休憩時間がほとんど取れない」と回答

「十分に休憩時間を取れない理由」を自由記述で尋ねたところ、業務の合間を縫って仕事を進めざるを得ないという実態が、具体的な1日の流れとともに数多く寄せられている。

「子供がいる時間は子供から目が離せないので休憩ができない、隙間時間や放課後も、会議や保護者対応などの突発的な業務に追われて自分でコントロールできる時間が取れない」といった実態がわかった。また、「トイレを我慢し続けた結果、体調を崩した」という訴えが特に目立った。

・約半数が週3日以上の「持ち帰り残業」
出勤前・退勤後の「持ち帰り残業」が週3日以上あると答えた教員は49.8%(1,321人)で、2025年調査の「50%超」とほぼ同水準だった。特に「ほとんど毎日」持ち帰り残業をしていると答えた教員が34.6%(917人)を占めた。

約半数が週3日以上の「持ち帰り残業」

・9割弱が休日にも勤務
1カ月のうちに休日に仕事をする日があると答えた教員は、86.4%にのぼり、2025年調査の「約9割」に近い水準を維持している。

平日は、突発的な業務量の多さや、家庭の都合や疲れ果てて業務が終わらないことから、自分が裁量を持ちやすい休日に、教材研究や学級事務、校務分掌の仕事などを行うという声が多く寄せられた。

1カ月の中で、休日に仕事をする日は平均で「3~4日」が最多

・時間外勤務の要因、9割弱が「そもそも8時間で終わらない」
時間外勤務の最多の要因は「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」(86.3%)だった。2025年調査(「80%以上」)よりもさらに高い水準となり、慢性的な業務過多が構造的要因であるという認識が、この1年でむしろ強まっている可能性がうかがえる。

さらに、有効回答数2,580人のうち、90%以上が複数の要因を選択しており、解決の難しさがうかがえる。自由記述では、不要な業務の多さ、人手不足の穴埋めが必要、中学校では部活で土日出勤をせざるを得ないという声が寄せられた。

86.3%が「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」と回答

・保護者対応と業務量の多さが「つらい」
「勤務時間の長さ以外で、『つらい』と感じるのはどんなときですか?」という設問に対し、自由記述で最も多く挙げられた回答は、2025年調査と同様に「保護者から理不尽なクレームを受けているとき」が22.9%、次いで、「業務量の多さ」が15.7%と続いた。

自由記述では、体調不良の訴えや休みのとりづらさ、休暇や雇用の「制度」そのものが十分に整っていないという訴えも目立った。

自由記述の回答から、頻出単語や言葉同士の関係を示したテキストマイニング図。頻出回数が多いほど大きな円になり、関係性あるものを線で結んである(作成・提供:株式会社電通総研)

・「子供の成長」「子供の笑顔」が教員をつなぎとめている
一方「『これがあるから教員はやめられない!』と、思うような強い喜びを感じるのはどんなときですか?」という問いでは、2025年調査と同様「子供の成長やできた瞬間」や「子供の笑顔や楽しそうな姿」など、68.1%が子供関連のポジティブな出来事に喜びを見いだしていると回答した(回答2,203件)。

自由記述の回答から、頻出単語や言葉同士の関係を示したテキストマイニング図。頻出回数が多いほど大きな円になり、関係性あるものを線で結んである(作成・提供:株式会社電通総研)

・新設問で見えた、“時間”より“心”を
「残業時間を減らすより、情緒的疲労を減らしてほしい」と考える教員が60.6%にのぼった一方で、将来のデジタルツール開発に期待する方向性を尋ねると、65.3%が「情緒的疲労の軽減」よりも「生産性の向上」を選んだという、一見矛盾するような結果が出た。

60.6%が残業時間の削減より、情緒的疲労を減らしてほしいと回答
デジタルツール開発に期待する方向性では、65.3%が「生産性の向上」を選択

みんなの教育技術によると、日々の“心”のケアを切実に求めながらも、それをかなえる手段として「まず業務そのものを減らす・効率化することへの期待の方が現実的だと感じている」という複雑な心理を映していると解釈できるとしている。

・自主的に学ぶ教師はメンタルダウンに陥りにくい可能性
今回の調査では、「研修以外にも自主的に学んでいる」と回答した教員のうち、「俯瞰(ふかん)的に物事を見られている」と答えた割合は80.4%にのぼった。自主的な学びをしていないと回答した教員(52.6%)と比べて約28ポイントの差があり、学び続ける姿勢と物事を客観視する力との関連がうかがえる。

自主的に学んでいる教員ほど、物事を俯瞰(ふかん)的に見られる傾向が強い

心理学の分野では、こうした「物事を一歩引いてみる視点(セルフディスタンシング)」を持つ人は、ネガティブな感情にとらわれにくいことが指摘されているという。みんなの教育技術は、今回の調査結果とこれらの知見を重ねると、自ら学び続ける姿勢が、間接的にメンタルヘルスの維持にもつながっている可能性があると調査結果をまとめている。

【調査概要】
調査対象:全国47都道府県の教育関係者
調査期間:2026年5月23日~7月5日
調査機関:自社調査。Webメディア「みんなの教育技術」でのアンケート調査
調査協力・監修/株式会社電通総研(担当:岡田芳樹研究員)
有効回答数:2,672人(男性:807人、女性:1,713人、その他・無回答:152人)
回答者の年代:20代:364人、30代:620人、40代:780人、50代:684人、60代以上:180人、その他・無回答:44人
回答者の校種:小学校:2,223人、中学校:215人、特別支援学校:70人、高等学校:62人、義務教育学校:28人、教育委員会:10人、中等教育学校5人、その他・無回答:59人
※同アンケートでは、回答者の負担軽減のため設問を任意回答としており、設問ごとの有効回答数が異なる