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矢野経済研究所、国内eラーニング市場の調査結果2023年版を発表

引き続き拡大するも成長率は鈍化、リスキリング需要に高まり

株式会社矢野経済研究所は、国内eラーニング市場について調査を実施し、BtoB、BtoC各市場の動向、参入企業動向、将来展望の報告の2023年版を発表した。

1. 市場概況:引き続き市場拡大が見込まれるが、コロナ禍での拡大からは成長が鈍化

2022年度の国内eラーニング市場規模は、提供事業者売上高ベースで前年度比4.3%増の3,705億円を見込む。内訳は、BtoB市場規模が1,075億円(前年度比10.7%増)、BtoC市場規模が2,630億円(同1.9%増)と、いずれも引き続き市場拡大が見込まれる。

ただし、コロナ禍で市場が拡大した時期と比較すると成長率は鈍化している。

  • BtoB市場:堅調な状況で推移したが、急速な需要拡大からは沈静化が進んでいる。また、中堅・中小企業での小規模導入が増加した結果、顧客単価の低下に伴い市場全体の伸びは鈍化傾向にある。
  • BtoC市場:コロナ禍の沈静化などを背景に需要の停滞がみられている。2020年度および2021年度における急成長から一転して、2022年度の伸び率は微増推移に留まるものとみられる。

2. 注目トピック:リスキリングをキーワードとした需要の高まり

DX推進などから注目を集めているリスキリングは、eラーニングとの親和性が高い。そのため、今後、主要事業者各社においても需要の高まりを感じている状況にある。

なお、リスキリングには、業務上必要となるスキルの体系化や、個人が有するスキルの可視化・データ化などが必要であり、これらに対応したサービスの提供も増加していくことが考えられる。

3. 将来展望:2023年度の市場規模は3,773億円を予測

2023年度の国内eラーニング市場規模は、3,773億円(前年度比1.8%増)を予測している。

  • BtoB市場:DXやリスキリングの需要が牽引する形で、引き続き堅調な需要で推移していくと考えられる。ただし、顧客単価の下落の進行や、競合状況の激化、対面教育の復調などの影響により、引き続き市場拡大となるものの、その伸びは鈍化傾向に進むものと予測している。
  • BtoC市場:全般的に需要の落ち着きが想定されるものの、eラーニングの一般化や、講師・指導者の人的リソースをeラーニングでカバーする需要、リモートワークによっで生じた時間を学習にあてる社会人の増加、サービスの多様化などを受けて、微増ながらも拡大を予測している。

【調査要綱】

  • 調査期間:2023年1月~3月
  • 調査対象:eラーニングシステム開発・構築・販売事業者、eラーニングコンテンツ開発・製作・販売事業者、 eラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者(学習塾、語学学校、研修事業者等)、 学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等
  • 調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
  • 発刊日:2023年3月27日

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