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10カ国・小中学生6,313人の計算力を分析、スプリックス教育財団調べ

公益財団法人スプリックス教育財団が、10カ国の小中学生と保護者・教員を対象に実施した「国際基礎学力調査 2026」の速報サマリーを公開(出典:公益財団法人スプリックス教育財団、以下同じく)

公益財団法人スプリックス教育財団は、日本を含む10カ国で小中学生とその保護者、教員を対象に実施した「国際基礎学力調査 2026」の速報を2026年10月14日に公表した。計算力や学習環境について調べたもので、詳細は「国際基礎学力調査 2026 速報版」で確認できる。

調査では、国際基礎学力検定「TOFAS」の計算テストと、子供・保護者・教員へのアンケートを実施。2026年9月1日時点の回答数は、子供が6,313人、保護者が3,163人、教員が136人となっている。なお、調査は有志の学校を対象としており、回答者を無作為に抽出したものではないため、各国全体の状況を示すものではない。

計算テストの結果を回収できた8カ国で比較すると、日本は平均正答率が高く、「白紙率」(解答しなかった割合)が低いほか、解答速度と精度が比較的高いことがわかった。

ベトナムとキルギスも比較的高い結果を示した一方、ケニアとペルーでは正答率が低く、未回答の割合も高い傾向が見られた。フィリピンとモロッコは集計時点で計算テストの結果が未回収のため、比較に含まれていない。

TOFAS(計算テスト)の国別平均正答率・平均誤答率・平均白紙率/8カ国の小中学生の計算テストの平均正答率・平均誤答率・平均白紙率。出題内容は学年によって異なり、前の学年までの履修範囲。合格ラインは正答率80%。計算テスト結果未回収のフィリピン・モロッコを除く

基本的な計算方法にも違いが見られた。「8+5」をどのように計算するかを尋ねたところ、日本では68.0%が「頭の中で答えがすぐにわかる」と回答したのに対し、日本以外の9カ国の合計は40.3%だった。

一方、「紙に書く」「指を使う」など、暗算以外の方法を選んだ割合は、日本が13.4%、日本以外の9カ国では37.0%となった。また、「頭の中ですぐに答えがわかる」と回答した子供ほど、計算テストの正答率が高い傾向も見られた。

<計算方法>10カ国の小中学生に「あなたは『8+5』をどうやって計算しますか?」と質問した結果を日本と日本以外9カ国の合計で示す。質問の選択肢は択一

保護者の関わり方と計算力の関係についても調べた。算数・数学のテストで子供の成績が良くなかった場合の対応を尋ねると、「次はできるよと励ます」「間違えた問題の解き方を教える」「次のテストのために何に取り組むべきか子供と話し合う」が上位に挙がった。

特に「何に取り組むべきか子供と話し合う」と回答した保護者の割合は、TOFAS合格者(正答率80%以上)の保護者が不合格者(80%未満)の保護者を約14ポイント上回った。調査では、保護者の対応が成績を高めたという因果関係を示すものではないとしつつ、具体的な対策を一緒に行うことが計算テストの成績に関わってくる可能性があるとしている。

<保護者の「叱り方」と子の計算力>小中学生の保護者に「算数・数学のテストで良くない成績を取ったとき、どのように対応しますか?」と質問した結果の上位3項目を示す。質問の選択肢は複数選択。計算テスト結果未回収のフィリピン・モロッコを除く

ICT端末の利用頻度と計算力の関係を見ると、算数・数学の授業でスマートフォンやタブレット、コンピューターを「全く使わない」と回答した割合は、TOFAS合格者が17.5%、不合格者が32.8%だった。

<ICT端末の利用頻度>10カ国の小中学生に対する調査結果。「スマートフォン、タブレット、コンピューターを使う算数・数学の授業はどの程度ありますか」と小中学生に質問した結果で、選択肢は択一。計算テストの結果未回収のフィリピン・モロッコを除く

学校のICT環境については、授業で使える端末の整備状況に差が見られた。日本以外の9カ国の教員の回答を合計すると、「児童生徒が一人一台使える端末がある」は14.6%にとどまった。「共用の端末がある」は62.3%、「使える端末が一切ない」は23.1%となっている。

日本の教員は回答数が少ないものの、回答者全員が「一人一台使える端末がある」と答えた。ただし、教員の回答は任意で、学校の偏りもあるため、国のICT整備状況を代表する数値ではない。

<ICT端末の整備状況>日本を除く9カ国の算数・数学の先生に対する調査結果。「あなたの学校では、児童生徒が授業で使用できるコンピューターやタブレット端末は配備されていますか?」と学校の教員に質問した結果で、選択肢は択一。教員の回答数が少なく、学校に偏りがあるので割合は参考値

スプリックス教育財団によると、日本における計算テストで、分野によっては正答率が80%に達しておらず、「8+5」の答えがすぐに思い浮かばない子供も3割程度存在するという。また、整備が進んでいる一方で、半数以上の子供が算数・数学の授業でICT端末をほとんど利用していないと指摘している。

同財団は今回の速報に続き、国や学年、性別、計算力などによる詳細な分析を進めるとしている。計算力の向上に貢献している要素を調べ、計算テストの結果との集計も踏まえて、基礎学力の向上に必要な知見をまとめる方針だ。

■調査方法
調査テーマ:国際基礎学力調査 2026
調査時期:2026年4月~8月
調査対象国:日本、フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、キルギス、ケニア、エジプト、モロッコ、ペルー
調査対象者:小学4年生、小学5年生、中学2年生、および中学3年生に相当する子供(以下、小4、小5、中2、中3、あるいは小中学生)とその保護者。算数・数学を担当する学校の教員
回収数:<子供>6,313人、<保護者>3,163人、<教員>136人(2026年9月1日時点)
調査主体:公益財団法人スプリックス教育財団が株式会社スプリックスに委託して実施
調査方法:1学年あたり1~数校の学校および自宅での調査。保護者と学校の教員の回答は任意。学校の先生は1校あたり0~数人程度の回答

■国際基礎学力調査 2026 速報版 目次
第1章:計算力の実態
・計算力の国別比較・学年別比較
・TOFASの学年別・分野別の正答率
・TOFASの正答率と解答率の関係

第2章:子どもの学習意識・習慣
・計算方法と計算力の相関
・授業でのICT機器の利用頻度
・宿題の重要性とその理由
・勉強に関する質問相手

第3章:保護者と子どもの意識・関わり方
・保護者と子どもの「計算力は重要」の認識
・保護者と子どもの計算力の自己評価
・テストへの保護者の対応

第4章:学校・先生の教育環境
・学校内のICT端末・Wi-Fiの整備状況
・宿題を課す頻度と、生徒が宿題を提出する頻度
・教員研修の有無と参加頻度

『国際基礎学力調査 2026 速報版』の表紙