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押して、動かして、作ってみる!親子で楽しむ Maker Faire Tokyo 2026

Maker Faire Tokyo 2026で子供たちに大人気だったボタンのテーマパーク「出張OSEBA」

ロボットや電子工作、クラフトなど、メイカーたちが自作したユニークな作品が集まる「Maker Faire Tokyo 2026」(株式会社インプレス)が、2026年9月5日・6日に開催された。今年は会場を有明GYM-EX(ジメックス)に移しての開催。ブース間や体験スペースにゆとりがあり、親子で工作やプログラミングをじっくり楽しむ姿が会場のあちこちで見られた。

本稿では「キッズ&教育ゾーン」を中心に、親子でにぎわった体験展示や、子供たち自身が手がけた作品を写真とともに紹介しよう。

有明GYM-EX(東京都江東区)

プログラミングや工作を楽しめる「キッズ&教育ゾーン」

キッズ&教育ゾーンでは、「こどもプログラミング喫茶」「青学つくまなラボ」「Maker Educator Community」「micro:bit champions & friends」など、子供のものづくりやプログラミング、学びに関するブースが並んだ。

親子連れでにぎわう「キッズ&教育ゾーン」
しぶちょー技術研究所では工作キット「おもちゃのせんばん」を展示
例年大人気のダンボール工作も

ソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースでは、ロボットトイ「toio(トイオ)」の専用コンテンツ「トイオ・プレイグラウンド」シリーズから、「ベーシック」「アドバンス」と、2026年5月に発売されたシリーズ第3弾「コマンド」を体験できた。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントのブース

「ベーシック」と「アドバンス」は、キューブの通り道にカードを置くだけで動きが変わる仕組みで、画面を使わずに直感的に遊べる。ブースでは、レゴブロックを取り付けたtoioを、小さな子供たちが夢中になって動かしていた。

レゴブロックなどを取り付けたtoioを、カードの上で走らせる子供たち
「コマンド」は、コマンドカードを並べてキューブに読み取らせると、その順番通りにキューブが動く。順次・反復・分岐といったプログラミングの基本的な考え方に、遊びながら触れられる

青学つくまなラボでは、小学生から大人まで、幅広い世代のメイカーの作品を展示。3Dプリンターで作った「iPhone」や、チェキで撮った写真を反転フラップ式で次々と見せる「パタパタ写真掲示板」、ジェネバ機構でフィルムを送る映写機など、それぞれの興味から生まれたものが並んでいた。

3Dプリンターで制作した「iPhone」
3Dプリンターで作ったパーツを組み合わせた、映写機のジェネバ機構
反転フラップ式掲示板からヒントを得た「パタパタ写真掲示板」
イノシシの牙に、シェイクスピア『リチャード三世』の一節を彫刻した作品

完成した作品を見るだけでなく、「なぜ作ったのか」「どこを工夫したのか」といったエピソードをメイカー本人から聞けるのもMaker Faireの面白さ。自分の作品を生き生きと紹介するメイカーたちと来場者の会話があちこちで弾んでいた。

こどもプログラミング喫茶では、Scratchやmicro:bit、Viscuitなどを使った体験メニューを用意。プログラミングに加え、ミシンなどの機材を使ったものづくりも楽しめた。AIに言葉で指示してプログラムを作る「バイブコーディング」も、「本日のスペシャル」として紹介されていた。

喫茶店でメニューを選ぶように、やってみたい体験を選ぶ仕組み
真剣な表情でmicro:bitのプログラミングに夢中

micro:bit champions & friendsのブースにも、子供たちの発想から生まれた作品が並んだ。その一つが、小学6年生が制作した、箱の中に流れ星を出現させる装置だ。実際の流れ星をあまり見たことがなく、「流れ星に願い事をしてみたい」と思ったのが制作のきっかけだという。AIによる音声認識を取り入れ、願い事を話しかけると装置が動き、流れ星が現れる仕組みにした。「流れ星を見たい」で終わらせず、「なら自分で作ってしまおう」と形にしてしまうところが頼もしい。

「流れ星に願い事をしてみたい」という思いから生まれた小学6年生の作品

ほかにも、夏休みの昆虫採集に使うバナナトラップを展示。クワガタが最も活発に動くのは日没から約4時間後だといい、それに合わせて4時間たつと自動でフタが閉まる仕組みにした。新しい技術を使いながらも、どの作品も発想の出発点は、子供自身の身近な興味や「やってみたい」という気持ちであるところがいい。

バイブコーディングで作ったシューティングゲーム。micro:bitをつないだコントローラーで遊べる

親子で工作を楽しめる「みらいずこう」のブースもにぎわっていた。並んでいたのは、動物の動きや身近な仕組みを、作って遊びながら学べるSTEAM工作おもちゃ。ブースには海外から訪れた親子の姿もあり、紙飛行機を発射する仕掛けのおもちゃでは、勢いよく飛び出すたびに歓声が上がった。

動きの仕組みを作りながら学べる「みらいずこう」のSTEAM工作おもちゃ

「かわいいものを作りたい」小学2年生がつくったロボット

会場には、学校の授業から生まれた作品も並んでいた。Maker Educator Communityのブースでは、教員らが自身の実践を紹介。そこで出会ったのが、長野県の小学校で2年生が制作した「かわいい」ロボットだ。国語科と生活科の学習を組み合わせ、子供たちがそれぞれに考える「かわいい」をロボットで表現したという。

小学2年生が授業で制作した「かわいい」ロボット

制作には、プログラミング学習ツール「Key Touch」とiPadのScratchを使用。なでると表情が変わるなど、思わず触れて愛でたくなる仕掛けが盛り込まれていた。

未来工作ゼミ、FabLab Nagano、KSYなどが共同開発したプログラミング学習ツール「Key Touch」。箱の上に置かれた基板が本体

ロボットというと、つい「何の役に立つのか」に目が向きがちだ。しかし、この作品の出発点は「かわいいものを作りたい」という子供たちの思い。便利さや課題解決ではなく、自分が感じる「かわいい」を形や動き、表情でのびのびと表現したメイカーの作品が目を引いた。

「ボタン」にはんだ付け・工作、子供たちが夢中になった体験展示

島田電機製作所が出展した「出張OSEBA」では、エレベーターのボタンなど約1000種類が壁一面に並び、子供も大人も夢中になってポチポチと押していた。

壁いっぱいに並ぶボタン。次々と押して楽しむ子供たち

ワークショップゾーンでは、「はんだ付け体験」と「分解ワークショップ」を実施。保護メガネを着けてはんだ付けに挑戦したり、おもちゃや家電を分解したりと、実際に手を動かせる体験が人気を集めた。はんだ付けのコーナーには、長い列ができるほどだった。

「はんだ付け」に挑戦
分解したいアイテムを選び、取り外した基板などのパーツを持ち帰ることもできる

Maker Faireでは、ブースからブースへ移動する途中にも楽しい出会いがある。大きなティラノサウルスの後ろを、ダンボールで作った頭や尻尾を着けた子供たちが、小さな恐竜になって行進。大人のメイカーが手作りしたクレーンゲームやガチャガチャの前では子供たちが夢中になり、ビールケースで作った車には小さなドライバーが誕生していた。

会場を闊歩する大きなティラノサウルス。後ろには小さな恐竜たちも
手作りのクレーンゲームに、子供たちの目は釘付け
ビールケースが乗り物に変身。大人もちょっと乗ってみたい
自動クレープ焼き器から甘い香りが漂っていた

宇宙、乗り物、からくり。大人のメイカーの遊び心あふれる作品

子供たちの作品に負けず劣らず、大人のメイカーたちの作品も個性豊か。「こんなもの、どうやって思いついたの?」「大人が作るとこうなるのか!」と話を聞きたくなる作品が並んでいた。

Meno Space Workersは、人工衛星が観測した本物のデータからMinecraftの世界をつくる作品を展示。地図で場所を選んで日付を入れると、その街並みがブロックで現れ、雪が積もったり夜には明かりがともったりと、季節や時間の変化まで再現される。衛星データには、JAXAが公開する「JAXA Earth API」を使っている。

人工衛星が観測した本物のデータからMinecraftで街を再現

悪牛の「からくりじゃんけん」は、電気を一切使わずに、じゃんけんで対戦できるからくり装置。プレイヤーが出した手を記録し、勝負を重ねるほど、勝てる確率の高い手を出してくる。例えばグーばかり出していると、装置はだんだんパーしか出さなくなるという。歯車だけで“学習”する仕組みに、思わずうなる。

超小型ホバークラフト研究室は、人力で動くホバークラフトを展示。機体の下から空気を吹き出し、地面との間にすき間をつくって、浮いたまま滑るように進む。

人力で動くホバークラフト

ほにゃ工房が展示した「KiseKey Split」は、イラスト入りのプレートを交換して“着せ替え”できる分離式キーボード。左右に分かれて好きな位置に置けるうえ、キーの割り当ても自由に設定できる。好きなイラストや世界観をまとった、机の上がぐっと楽しくなるキーボードだ。

着せ替えできる分離式キーボード

AIものづくりを体験できるインプレスグループゾーン

会場には、インプレスのグループ各社が出展する「インプレスグループゾーン」も設けられた。その一つ、「窓の杜」のブースでは、Geminiを使ったバイブコーディングでゲームやアプリを作る「プログラム作成体験」と、AIで生成した画像からオリジナルの3Dモデルを作る「3Dモデル作成体験」を用意し、2日間とも整理券がなくなるほどの盛況だった。

Geminiを使ってバイブコーディングでゲームやアプリを作る体験
思い描いたキャラクターが立体に!AIで3Dモデルを作る「3Dモデル作成体験」

会場で子供たちを見ていると、「プログラミングを学ぼう」「AIを勉強しよう」と構えるより、「押してみたい」「動かしたい」「かわいいものを作りたい」といった好奇心から手を伸ばしているように見えた。

筆者は株式会社Gakkenのブースで、自宅でスクイーズを作れるキットを子供へのお土産に購入。親子でものづくりを楽しんだ。見る、触る、遊ぶ。そして、「自分なら何を作ろう」と考えてみる。Maker Faire Tokyo 2026には、子供も大人も、それぞれの「作りたい」を自由に形にする楽しさがあふれていた。

本多 恵

フリーライター/編集者。ゲーム誌・Web媒体、育児系メディアでの執筆を経て、現在は教育ICT分野を中心に取材・執筆。学校現場のICT活用や教育DX、生成AI、特別支援分野でのICT活用を追う。ゲームや遊びを学びにつなげるエデュテインメントにも関心を持つ。小学生2人を育てる母として、保護者の視点を大切にし、AI時代の学びの今を現場の空気とともに伝えている。